Under the Rose 考察4 名前のないメイドたち・レイチェルとウィリアム

 

  Under the Rose 考察4です。

 

前回までの記事

 

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今回は、名前のないメイドたちとウィル&レイチェルについてです。

目次の中の赤字部分が該当箇所です。

  • 目次
  • 1. 基本情報

     ・登場人物の年齢

     ・登場人物の血縁関係

       -入り組む血縁があぶりだすもの

    2. ロウランドで発生した事件

     ・ロウランドで発生した事件まとめ

     ・モルゴースによるもの

     ・亡霊たちが亡くなった本当の理由

     ・亡霊たちの囁き

    3. それぞれの目的

     ・モルゴースの目的

     ・アルバートの目的

     ・ライナスの目的

     ・ウィリアムの目的

    4. 名前のないメイドたち

    5. レイチェル

     ・レイチェル出奔履歴

     ・レイチェルの家庭環境

     ・レイチェルの過去

    6. レイチェルとウィリアム

  •  ・レイチェル&ウィリアムの逢瀬

  •  ・二人の背丈

4.名前のないメイドたち

 基本的にアンダロの登場人物って、下級使用人には名前がありません。

マージ・ロージ・ウェルズなどの階上の人間が名前を認識しているような人しか名前がでてきません。

メイドたちはけっこう重要な役まわりの人間もいるのに、名前が全然でてこない。(メイドじゃないが森番もでてこない)

唯一の例外はメアリだけです。

 ある程度レギュラーででてくる女性使用人たちには例えば下記のような人たちがいます。

 

・巻き毛のメイド:元グレースの侍女でライナスのお世話係。グレースに阿片を渡していた。

・口のきけないメイド:ウィルの部屋係。ウィルに熱湯をかけられたり、熱した火箸を押し付けられたりしていた。彼女の安全と引き換えにレイチェルはウィルの愛人となった。

・クルクル前髪のメイド:アイザックの部屋係。アイザックに気安い口をきいたため、アンナに解雇されたが、レイチェルの口添えで名前を変えて下働きをしている。

アルバートの遊び相手だったメイド:

・元侍女のメイド:レイチェルと海綿の取引をして以降、レイチェルに協力的。

・色黒のメイド:いつもわがままを言っているメイド。

・そばかすの侍女:なにかといけずをいうアンナの侍女。

・庭であった侍女:アンナの侍女だが、レイチェルに協力的。屋敷のために裏帳簿を黙認。

・同級生の家庭教師:グレン家の家庭教師。

 

 侍女・家庭教師は下級使用人ではないですが、レギュラーなのに名前がない人がたくさんいますね。

物語がレイチェル視点なら、同級生の家庭教師の名前くらい出てきそうなものです。

アンダロは別にタイタニックのような階級よりも人間性とか、エマのように階級を超えた愛みたいなものを描きたいわけじゃないんだと思うんですよね。

単純に、階上の人間にとって「使用人」は「使用人」であるという表現なのだと思います。

身分はロウランドの底なしの闇を描くための装置なのだと思います。

 

 

 

 冬の物語で、巻き毛のメイドが言っていました、「貴族ってみんなそう、使用人は家具と同じ」

千と千尋よろしくロウランドに入ると「名前」を奪われちゃうんですね。

10巻でモルゴース様がアンナに提示する「名前を失った者」というのは、アンナにとって人で無くなること、家具のように壊れたら捨てるものになるということを指しているのだと思います。

 とはいえ、アイザックやライナスは名前を知らなくても個人を認識してその感情を気にかけたりしています。

一方、アルバート、アーサー、アンナ、モルゴースにとっては本当に家具と同じという感じ。

この線引きは人によって違うのでしょうが、年が上になるにつれその傾向は強いのだと思います。

ウィリアムはただのサイコパスです。

5.レイチェル

レイチェル出奔履歴

 春の賛歌の主人公レイチェル。

ウィリアム君にいじめられまくって悲惨の一言です。

何回もロウランド出奔を決意していますが、その度に様々な理由から思い留まっています。

 

1回目:スタンリーの存在を知った時。家族からの手紙を読んで思いとどまる。

2回目:ミスピックが帰ってきた時。ウィルに言いくるめられた上、子供達への愛ゆえに思いとどまる。

3回目:ウィリアム君によるいじめが極まった時。ロウランド出奔というより、この世からの出奔を図る。湖でアンナと出会い、出鼻を挫かれる。

4回目:アイザックによる「先生が弟か妹を産んでくれたら嬉しい!」発言による。アルバートから家族の近況を手紙で知らされ思いとどまる。

 

 基本的にロウランドの闇に飲み込まれかけて辞めたくなるって感じですね。

でも、自分自身の抱える闇が大きすぎて逃げ場がないためロウランドに踏みとどまるレイチェル。

かわいそう…。家庭の鎖につながれているのに、さらにアルバートがロウランドの鎖につないでくるし。

レイチェルの家庭環境

 牧師のお父さんとお母さん、弟ウィリアム(ビリー)がいます。

本当のお父さんは死んでしまい、牧師のお父さんはお母さんの再婚相手です。

ビリーは牧師のお父さんとお母さんの子ですね。

昔は今より人が死にやすかった分、こういうことがよくあったのかな。

 レイチェルの過去はちょうど今、11巻収録予定のお話で少しずつ明かされていますが、この家族構成が彼女のあまりにも低い自己肯定感を育成してきた気がします。

レイチェルってなにかというと、「自分は代用品だ」といって落ち込む傾向があります。

端からみていると、全然そんなことないと思うんだけど。

レイチェルの過去

 レイチェル、絶対に関係を強要された過去ありですよね。

信仰心と道徳心の強い彼女が恋愛でって考えづらい。

相手は誰なんだ。

 レイチェルの性格的に病気の弟をあんなに遠ざけるというのもなにか訳ありの気がします。

やっぱり過去の相手はビリー?

あえてウィルと名前を重ねてくるあたり、この弟はなにかあります。

6.レイチェルとウィリアム

レイチェル&ウィリアムの逢瀬

 恋に落ちたサイコパス・ウィリアム君と自己肯定感低すぎて餌食女子・レイチェル。

パプリコさんの妖怪男ウォッチinビクトリア朝って感じですね。

妖怪男ウォッチ1 (シルフコミックス)

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 正餐会が始まるまでは完全に暴力です。

でも、ダンスパーティー以降、やっぱりちょっと変わってきましたよね、2人の関係も触れ合い方も。

 

・1回目:口のきけないメイドの安全をカタにウィルがレイチェルに強要。ウィルの部屋で・着衣・後ろから。

・2回目:口のきけないメイドの安全をカタにウィルがレイチェルに強要、以後同様の理由で継続。ウィルの部屋で・着衣・ベルトで縛る・後ろから立って。

・3回目:レイチェルが前から誘惑するも失敗。キスをしそうでしなかった。レイチェルの部屋で・レイチェル上半身はだけて・後ろから床で。

・4回目:ウィルの部屋で・レイチェルだけ脱衣・後ろから。

〜〜〜正餐回でしばらくおやすみ〜〜〜

・5回目:レイチェル、ウィルの手に手を重ねる。ウィルの部屋で・着衣・前からアプローチ・最終的に後ろから立って。

〜〜〜本編内では端折られつつも定期的にしている様子〜〜〜

・6回目:(本当は6回目じゃないけど)ウィルの部屋で・レイチェル脱衣ウィルジャケットをぬぐ・カウチで

・7回目:ウィルの部屋?レイチェル下だけ脱衣。後ろから。

・8回目:ウィルからレイチェルにキス・図書室で・レイチェル上半身はだける・前から床で→ウィルの部屋で前からベットで

 

 

 

 前からベットでするまでにどれだけ時間かかってるの。

前半のウィル、完全にレイチェルのことを家具ぐらいにしか思っていません。

脱がせたいとか触りたいとかでなく、本当に目的のためにしかレイチェルに触れていない。

4回目の脱衣もレイチェルの自尊心をへし折るためだけにやらせてます。

彼的にはそこまでやっても屈服しないところがいいんでしょうかね。モラハラの権化です。

 

 一方で、レイチェルも最初は完全に犯罪被害者なんですが、後半になると気持ちがのってきておりストックホルム症候群に罹患しています。

2018年的に完全にだめなやつです、#Metooです。

 

 もう、恋愛シーンというか、レイチェルがロウランドの闇に飲み込まれていくホラーとして捉えたほうがいいんでしょうね。

でも、やっぱりこの2人の関係が一番気になってしまう。

いつかウィルがレイチェルのことをレイチェルと呼んでくれる日がくるのでしょうか?

二人の背丈とパワーバランス

レイチェル>ウィリアム

 出会ったころは、レイチェルの方がウィルより背が高いんですよね。

なので、アルバートに迫られてうずくまるレイチェルを助け起こそうとしていた時は二人が立ち上がるとレイチェルの方がウィルを見下ろしていました。

まさに先生と生徒・大人と子供という構図でした。

うずくまるレイチェルを見下ろしながら手を差し出すウィルというのがそのままウィルの望む力関係を表しています。

でもレイチェルはその手を取らず、自分で立ち上がり、大人と子供に戻るわけです。

 結果的にウィルが何度レイチェルを屈服させようとしても、この関係は壊せず、レイチェルから精神の自由は奪えないんですよね。

レイチェル=ウィリアム

 ダンスパーティーの時には、背丈が同じくらいになっています。

この時は、レイチェルは純粋にウィルとのダンスを楽しみ、ウィルはレイチェルを使用人としてではなく受け入れていました。

二人のパワーバランスも拮抗し、お互いを見つめる目線もまっすぐです。

 クリスマスの頃もほぼ同じですね。

屋敷を支えようとするウィルとそれを支えようとするレイチェル。

それぞれがお互いのできることを同じ目的のために行っていました。

この頃になると、ウィルの横顔も大人びてきています。

レイチェル=ウィリアム<アルバート

 しかし、だからこそ引き立つ、アルバートとウィルの背丈の差です。

クリスマスイブの夜、アルバートはレイチェルを抱き寄せ、上から包み込みます。

これはやっとレイチェルと対等になれたウィルにはできないことです。

 

 2018年12月リリースの34話は6月頃の話なので、そろそろ二人の背丈が逆転している頃かなと思うのですが、最近はレイチェルとウィルのシーンがあまりないんですよね。

次の二人の逢瀬はいつになるのか、次回に期待です。

 

 

サブタイトルや幽霊が見える人と見えない人の違いも興味があるのですが、とりあえず以上で考察は終了です。