2018年末に発表された、「このマンガがすごい!オンナ編」第2位に田村由美先生の『ミステリと言う勿れ』が選ばれた。
さらに、2019年4月から『7SEEDS』がNeflixでアニメ化されるそうだ。
私は田村作品が大好きで、私の少女漫画好きの土台は田村作品によって形成されたといって間違いない。
ちなみに、土台は3種の素材が使われており、田村由美作品・篠原千絵作品・渡瀬悠宇作品である。
今回は私と田村作品についてつらつら書いてみたいと思う。
私と田村作品の出会いは田村作品だと認識しての出会いは1999年12月だ。
別冊少女コミックで『BOX系!』が新連載として掲載されていたのを読んだのが始まりだった。
ちなみに、それ以前にそれと知らずに『members site -ZOO-』を読んでおり、とても面白くて記憶に残っていたものの、作者名をチェックしていなかったため、だいぶ後になって単行本化された際に気づき、随分驚いた。
田村先生の作品というと、『7SEEDS』や『BASARA』のような感動的な大作があげられがちだが、短編も非常におもしろい。
当時、私は少女コミックを月に2回買っていたのだが、別冊少女コミック(現ベツコミ)や少コミCheese!(現Cheese!)などの広告が掲載されており、そうした少女漫画誌にも食指を伸ばしだしていた。
『BOX系!』が新連載だった号は私が初めて別コミを読んだ号だったように記憶している。
ともかく、鮮烈に面白かった。
この頃の私はとにかく漫画が好きだったのだが、今のようにアプリで無料で漫画が読める時代ではなかった。
また、お小遣いにも限りがあり、読める漫画の絶対量が少なかった。
そのため、出されたものは残しませんといった感じで、購入誌の漫画はくまなく読んでいた。
そうして読む漫画は、どれもそれなりにおもしろかったのだが、『BOX系!』はそういうレベルではなかった。
読み終えた後、何度も何度も読みかえした。
ちなみにこのように連載第1話を読んで完全に魅了されてしまった漫画は「海街Diary 蝉時雨のやむ頃」、「レディシノワズリ」、「テニスの王子様」、「SAMURAI DEEPER KYO」などがある。
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ともかくこの作者の漫画がもっと読みたいと思い、そして出会ったのが歴史に残る名作『BASARA』である。
『BASARA』の連載終了は1998年でありタッチの差で立ち会えなかったのは本当に残念だ。
アニメも放送していた当時にキャッチできなかった。
しかし、あれは第1巻から読むべき作品であり、最終話近くから読み出さなかったのは作品を楽しむという上では良かったのかもしれない。
完結済みの作品だったので、一気に読むこともできたのも幸いだった。
15巻のタタラが赤の王に打ち込んだあの巻末の引きをローティーンの私が1ヶ月も待てたとは思えない。
今考えても少女漫画史上最高の引きのシーンの1つに思える。
しかし、全28巻というのは中学生にはなかなか購入が厳しく、手持ちの現金を全て使い果たしても足りなかったため、大事にしていた漫画を売ってお金を作ったりした記憶がある。
最近でこそ、長く続く少女漫画は珍しくないが、その当時は全27巻というのはかなり驚異的な数字だった。
まあ、その超長期連載を『7SEEDS』で更新してらっしゃるが…
一気に購入しても、これまた1日で読みきれず、翌日学校で『BASARA』のことばかり考えていたことをよく覚えている。
また、当時私はBASARA BOXというアイテムが欲しかった。
揚羽の声の目覚まし時計やオリーブのタネの首飾りといったアイテムの詰め合わせが、受注生産で販売されていた。
ほしくてたまらなかったが、価格が1万円程度し、当時の私には手が届かなかった。
時々、あの頃、猛烈にあの目覚まし時計が欲しかったことを思い出し、なんだか懐かしく思える。
あの頃、好きだった漫画はすごく好きだったのに結局付き合えなかった相手に対するような気持ちが少しある。
『BOX系!』はわりとすぐに連載が終わってしまい、非常に残念に思ったのを覚えている。
コミックスか本誌のコメントだったかは思い出せないが、雑誌の都合での連載終了であり、人気がなかったというわけではないと田村先生が説明されていたのが記憶に残っている。
次に始まったのは『シカゴ』だったが、これもやはり短期で終わってしまった。
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田村先生はわりと世界観や登場人物を作品の垣根を超えてリンクさせることが多い。
シカゴには『巴がゆく!』に登場するJJが出ている。
世界観としても、『巴がゆく!』があって、『シカゴ』があって、『7SEEDS』があって、『BASARA』の世界につながっている気がする。
詳細を読み込むとちょっと設定が違っている部分もあり、別世界の話なのかもしれないが、勝手に一読者として私はそう読みたい。
ちなみに『ミステリと言う勿れ』ではBASARAの舞台稽古をやっていたが、流れのどこかに整君もきっといる。
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『シカゴ』の次に始まったのが『7SEEDS』である。
『7SEEDS』が始まって少しして、別冊少女コミックは現在のベツコミとflowersに分離する。
『7SEEDS』はflowersで連載されることとなった。
勝手な想像だが、『BOX系!』や『シカゴ』が短期連載だったのは、この雑誌再編の関係だったのかなとなんとなく思っている。
実は『7SEEDS』は連載開始当初あまり好きではなかった。
好きではなかったというのは、つまらなかったわけではなく、普通以上に面白いものの、他の田村作品ほど夢中になれなかったという意味だ。
当時はなぜかわからなかったが、今思うに、物語の目標がよくわからなかったというのがあったと思う。
『BASARA』なら、最初は仇討ちという目標があり、それがやがて新しい国を作るという目標にかわる。
更紗と朱理の恋にも、いずれ2人がお互いの正体に気づく時が来ると読者は明らかにわかっていて、それがいつなのかを待っている。
そうした明確な目標=引きみたいなものが『7SEEDS』では序盤あまり見えなかったのだと思う。
それが変わったのが、夏のAグループの話になった時だ。
彼らには7人に選ばれるという明確な目標があり、後半は壮絶な生き残り戦となっていく。
毎号楽しみで、flowersを買うとまず『7SEEDS』から読んでいた。
2019年1月号のflowersに田村先生のロングインタビューが載っていたが、奇しくも先生も同様のことを考えていらしたようで驚いた。
「作者が楽しんで描いているとそれが読者にも伝わる」とおっしゃていたが、まさにその通りだったのだろう。
ちなみに今読み返してみると、夏のA以前のお話も非常に面白いと感じる。
冬のグループの話や甲子園のくだりでは号泣してしまう。
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7巻からいきなり読んでも面白いと思います。
『ミステリと言う勿れ』は最初は読み切りだった。
flowersに初めて掲載されたのは、まだ『7SEEDS』連載中だ。
連載をこなしながら、100Pもの読み切り、本当にすごいと思う。
そして、この作品もまた非常に面白いと感じた。
読み切りがこんなに面白いというのは私にとっては非常に珍しい。
そして、田村作品の読み切りはいつも面白い。
『霧の家』や『針の目』のようなホラー作品が特に好きだ。
『踊る教室』も面白かった。
『4人の女』も心に残っている。
『ミステリと言う勿れ』に戻ると、この作品はなんというか、田村作品らしさを感じる作品だと思う。
なにをもってらしさというのかは難しいのだが、すごく「らしい」と感じるのだ。
整君の髪の毛がクリクリなことや、サイコな犯人や、整君の語る一つ一つのエピソードがみんな「らしい」のだ。
そういえば、2018年1月号ではマルクス・アウレリスの言葉を引用していた。
田村先生の知識の豊富さには本当に驚かされる。
「BASARA」は古今東西のさまざまな偉人の名前やエピソードをそれとなく引用しているが、大人になって読み返すたびに新しい引用に気づいたりする。
子供の頃は拾えなかったものに気づけると嬉しくなる。
No. 31がモンテ・クリスト伯の囚人番号だと気づいたのはつい最近だ。
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長々と書いたが、この話に特にオチはない。
ただ、田村作品はずっと私の傍にあったし、これからもあるだろうと考えている。
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