It's a rumor in St. Petersburg

アラサーOLです。主にまんがの感想を書こうと思っています。

【感想】『金色のマビノギオン』 山田南平(著) 1-3巻

 

 2019年は新しい漫画にたくさん出会いたいなーと思っているので、試しにアプリで連載されている漫画をたくさん読んでます。特におもしろいのが、白泉社のマンガParkで連載中の『金色のマビノギオン』です。紅茶王子で有名な山田南平先生の作品です。実は、私、山田先生の作品を読むのは『金色のマビノギオン』が初めてだったんですが、あまりの面白さに紅茶王子シリーズも全部勝手読んでしまいました。アールグレイかわいすぎる〜〜!!

 

manga-park.com

 

あらすじ

 『金色のマビノギオン』はアーサー王物語をモチーフにした作品です。現代の高校生三人組がアーサー王の世界にタイムスリップ?異世界転生?してしまい、物語に巻き込まれていきます。

 主人公たまきはアーサー王の生まれ変わりなのですが、当のアーサー(まだ王になっていない)が大ケガして死にそうになっているので魔術師マーリンに現代から召喚されてしまいます。その時、一緒にいた幼馴染の真と広則も一緒にタイムスリップしちゃう。で、とりあえず、アーサーのケガがよくなるまでアーサーの身代わりをすることに。直近で戴冠式やんなきゃいけないので、まずは戴冠式やるよー!って感じです。

 でも、この3人、どうやらアーサーの身代わりとそのおまけ以上の意味をもっている3人でありそうなんですね。彼女らが単なる異邦人のお助けマンとしてではなく、徐々に物語の中心人物として構成されていく様子が残酷で美しく引き込まれてしまいます。

 ちなみに、たまきは紅茶王子に登場した若宮君の娘さんという設定のようです。

 

nanpei.exblog.jp

 

 

 

感想

悲惨な結末から逃れられない予感がすごい

 アーサー王伝説って基本的に最後、みんな死んじゃいます。あまり詳しくない私も知っています。もう、結末に悲劇が待ってるのがわかっていて、それが作中でガンガン匂わされてます。

 わずかな救いとして「ランスロットが存在しない」とか「ガレスがいない」とか、よく知られているアーサー王物語と違う部分が存在します。なにより、現代から引き寄せられた3人の存在が違います。それによって、読者は(私は)「あれ、もしかして私達の知っている伝説と違う結末が迎えられるのでは?」と淡い期待を抱くのですが、話を読み進めていくうちに、「え?いつの間にか元の世界線と同じルートに入り込んでしまっている…?」という事態が発生します。暁美ほむらの絶望ですよ。でも、それが起こった瞬間の、「まじかー!そうなのかー!」という感覚、これに物語に一気に引き込まれます。基本的に、私どんでん返しに引っかかった時ほど、物語にのめりこむ傾向があるんですよ。『BASARA』がものすごく好きになった瞬間も1巻で朱理の正体が分かった瞬間でした。このお話では、読者のささやかな希望がいつの間にか、悲劇のルートに組み込まれているところが大変いいです。3巻で最重要人物が爆誕した感じです。

 歴史物や原作がある作品を読む醍醐味って、決められた結末があるというところだと思ってます。特にそれが悲劇の場合、結末までの残された時間を強く意識するからこそ、登場人物たちの幸せな時間が光り輝くんですよね。限りあるものの美しさを感じることができる。タイタニックは沈むからこそジャックとローズの幸せな時間が眩いんですよ。

人を見送るということ

  『金色のマビノギオン』で山田先生を知って、『紅茶王子』シリーズも全部読んだのですが、読み終わって思うのが、『紅茶王子』は出会いと別れのお話なんだなあということです。別れがあるからこそ、どう一緒に時間を過ごすのか、どういうかかわり方をするのか、その人たちなりの選択と軌跡を描いたお話なんですね。

 『金色のマビノギオン』もそういうとこのあるお話なんだな、と思いました。3巻でのアーサーの語りは非常におもしろいなと思います。死というのは今生での絶対の別れなわけだけど、どう別れるかはどう一緒にいたかでもあって、どう別れるかは単純に死の瞬間だけできまるものではないわけではないと。「それまでどう過ごしてきたか」や「どう見送るか」も、とても大事なのだなと。さらには、生き残った人も別れのある生をどうやって生きていくのか。人の人生も、一緒にいる人との関係も、ともに過ごす幸せな時間も、必ずいつか変わったり終わったりする瞬間が来る。物語の悲劇性ともあいまって、どんなものにも終わりがあるということを強く意識させられる作品だと思います。

ガウェインの悪気のない チャラさたまらん

 ガウェインって、一般的イメージとして、たらしな感じがあるようです。昔やってた乙女ゲームでも女の子を口説きまくってるキャラでした。『金色のマビノギオン』でもめっちゃモテまくっている設定です。確かに、浅黒い肌といい、雄々しい骨格といい、大変セクシー。優しくて強くて頼りになるお兄さんなんだけど、それだけで終わらない色気がある。いいわぁ…。朴念仁といわれつつ、普通にいろいろわかってる感じです。朴念仁というか、女性の恋愛感情みたいなものに対するセンサーが低いんでしょうね。自分にとってはアーサーが最重要で、恋愛の優先順位が比較的低いから、他人の強い恋愛感情があんまり理解できないのかな。たまきとのキスについては、故意だと言ってるけど、読者的にはそんなに意味はねーだろっていう感じがします。行けそうだと思ったからしたが、たまきが泣き出してあちゃーぐらいの軽さです。まあ、特別ではあるんでしょうけど今のところ「なんかかわいいからした」ぐらいのもんでは? そういうのを、はずみとか勢いって言うんですよー? でも、そういうチャラチャラしたものを恋愛感情と思っているような男性がだんだん本気になっていくの、萌えるよね… 今後、たまきとどんな関係をつくっていくのか楽しみです。たまき、いろいろ教えてもらっちゃってほしい。

 恋愛パートはエレインと広則はかわいいカップルですね。男になってもかわいいって、どういうことだ、エレイン。もう、みててニヤニヤしちゃう。しちゃうんだけど、悲劇の予感しかしない。こっちも展開が楽しみです。真とマーリーンの関係もどこかで変わるのかな。

美しい世界

 ほんっと、絵がきれいですね。特に景色がきれい。映画を観てると、こんなとこに行ってみたいな~と思わせられるような場面があったりしますが、そういう気分にさせられます。今いる世界と違う美しい世界を疑似体験できるのは、歴史ものやファンタジーのよさだなと思っています。

 私が特に好きなのは2巻のニムエのを連れてアヴァロンに戻るシーン。よく晴れた青空の下、白い花が咲き乱れる穏やかなきれいな日だったんだろうなと、情景がカラーで頭に浮かんできました。国と季節は違えど、「願わくば、花のもとにて春しなむ」という歌が思い浮かびました。アヴァロンの幻想的な感じや水辺の感じもいいですね。町に入った時の建物の立ち並ぶ埃っぽそうな感じとも対比がきいてます。それはそうと、ニムエとエレインが可憐すぎませんか? 乙女のお洋服もかわいいぞ! めっちゃ可憐な外見と裏腹に煽ってくスタイルのニムエが早々に退場しちゃったのは残念だ…。

 

 

 

今後

 先のことをわかってて読みたい派としては、アーサー王伝説がどんなものか一通り抑えときたいという気持ちです。ウィキペディアでわかる範囲で調べた内容によると、えー!えー?え…ええ、ええみたいな感じである。これは1度ちゃんとまとめたいですね。現段階のポイントは3人がそれぞれ誰なのかということだろうか。あと、未登場のグィネヴィアはどうなるのかなぁ。