2019年4月発売プリンセス掲載の『薔薇王の葬列』53話について感想です。最近、電子書籍も紙版と同日発売になったので、日付が変わってすぐ読めるようになったのが嬉しいです。
ここ最近の薔薇王は毎号超山場って感じで、毎号毎号ほんとうに楽しいです。読後の満足感が非常に高く、発売日がすごく楽しみです。毎月5日と20日がすごく楽しみだった小学生のころを思い出します。
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感想
導火線に火がつく
ついにこの時が来ましたよ…。最近、バッキンガムの存在感が強すぎてちょっとかすんでた感がありますが、『薔薇王の葬列』の正ヒーローはヘンリーで、ヘンリーはティレルですよね? 第一部では、お互いがお互いの正体を知らずひかれあっていくBASARA展開で、読者としてもいつか必ずお互いの正体を知る日が来るというのはわかっており、それがいつどうやって?ということが最大の焦点だった思います。そして第二部、お互いの肉体もしくは精神的な死によって離別した二人がいつ再会するのか?という新たな焦点が登場します。気づかぬ間にじりじりと距離を縮めてきた二人がついに今号で再会です。山場すぎる!
でも、この二人って再会したところでどうなるの?とも思う。第一部でお互いを受け入れることができずに別れを迎えたわけで、再会したところで元の幸せだったころの二人に戻れるわけじゃないと思うのです。しかも、ヘンリーは記憶を失ってティレルとして別人格で生きている。例え記憶が戻っても、あの続きをするだけなら、リチャードがもう一回ヘンリーを殺すだけなのでは…。それとも、ティレルになってからヘンリーは心身ともにすこぶる健康そうなので、もう一度あの瞬間をやり直せて、発作のようにリチャードを拒否することなく受け入れることができるのでしょうか? でも、仮に今、受け入れられたとしても、あの時リチャードは傷つきすぎて精神的に一回死んじゃったわけで、もう今更遅いのではと思ってしまう。うーん、悲しみの結末しかみえない。
時間的なことを言うと、リチャードがヘンリーを殺したのが1471年で、52話が1483年で実に12年の歳月がたっています。人斬り抜刀斎が緋村剣心になるのに10年です。言葉にすれば一言だが、生きてみればずいぶん長い年月です。31歳のリチャードに19歳の時にみた夢が再び降りかかってきている。なんかこれは胸が痛いですね。あまりに世界観が離れていますが、これは31歳の既婚サラリーマン(エリート社畜)の前に大学の時の最愛の恋人が現れて…的な胸の痛さがありますよ。私もアラサーのせいかなんか自分事のように感じてしまいます。もう、何もかもがあの頃とは違うんだ…。
時系列のまとめ
夢と現実の境界線が濃くなった…じゃなくて薄くなった
ラ・ラーイ。52話からかなり夢と現実の境界が薄くなってきています。もともとファンタジー的な夢の部分と現実の部分の境界をあえてぼかしている物語ですが、ここにきてその境界がほとんどなくなっています。
リチャードは眠りの中で「夢」の続きをみることを選択(ながされるままに?)します。『薔薇王の葬列』においてリチャードの「夢」って常にヘンリーとの愛を指していると思うんですよ。だから、リチャードはバッキンガムのそばにいると「夢」をみない。バッキンガムは「夢」ではなく、もっと現実での「願い」を共有する相手だから。で、「夢」の続きをみることを選択したということは、今後、ヘンリーとの愛が再びリチャードの前に影を落とすことの示唆なんだと思うんですよね。(愛って言葉がすごくネガティブに感じられますね) 眠りから覚めた時、そばにいる相手って私はバッキンガムかと思っていたのですが、きっと次号で目が覚めた時そばにいるのはティレルだよね。第一部でリチャードが「願い」よりも「夢」を選んだ時、バッキンガムはリチャードから離れていきました。リチャードが「夢」の続きを見るのだとしたら、バッキンガムとのお別れも近いのかな。
次回
今号は時限爆弾のタイムリミットが0になった瞬間のようなお話でした。次回は爆発必至ですね。ゴールデンウィークだから発売もちょっと早いし、すごい楽しみです。
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