今月(2019年5月)はプリンセスがいつもよりちょっと早く発売です。
前号、超盛り上がったところで終わったので、今月号の発売を大変楽しみにしておりました。今月号も超超超山場です。そして、想像を裏切られる展開でした。
前回のエントリ
感想
あなただったんですか…!?
速水さん…!じゃなくてバッキンガム…!
「目覚めた時、傍にいた奴を愛してしまう」
52話、狩りが始まる前のジャンヌの暗示です。ここからずっと「目覚めた時、傍にいるのは誰なのか?」というクエスチョンが読者(私)の中にあったわけです。なので、前回、リチャードが倒れた時、次に目を覚ました時、傍にいる相手がリチャードの行く末密かに暗示する人Honey!に違いないと思ったわけです。そして、そのタイミングでティレルが参入してきたわけですから、やっぱりここはヘンリーが持っていくのね!って思ってたわけなんですよ。ところが、
目が覚めた時、側にいるのはお前かー!お前なのかーー!! #薔薇王の葬列
— haveyouheard1997 (@anastasia1997_1) 2019年5月1日
まじか、まじか、そうなのか。そうか、君はそういう奴だったんだな。違った、あなただったんですね…、バッキンガムさん…!ってなりました。
夢と現実が入り混じる中で、リチャードが自分の意志で夢を振り切って王冠を希求します。王冠を望む道はバッキンガムと歩む道なので、リチャードの中ではっきりともう答えが出ているんだなと思いました。正直、前回のティレル参入でリチャードがもっと揺れるのかなと思ったので、私としては意外でした。意外さが一周回ったので、図を書いて整理することにしました。論理的思考をお持ちの方が見たらツッコミどころ満載かと思いますが、論理的思考を全く持たない人間が暇にあかせてつくりましたので生暖かい目で見ていただけると幸いです。
『薔薇王の葬列』 登場人物属性図
薔薇王の葬列では光と闇、神と悪魔といった対立する概念が用いられていて、それぞれ、それを体現する人がいます。なので、それをマトリクスにして関係性を考察してみようと思いました。
対立する2つの概念
縦軸: 光 VS 闇
「光」というのは『薔薇王の葬列』の世界では、ほぼ「王冠」とニアリイコールです。それに対して、「闇」の暗喩としてしばしば「森」が登場しています。リチャードはしばしば「王冠」を目指すのか、それとも「王冠」を諦めて「森」で暮らすのかという選択を迫られています。なので、「光=王冠」 VS 「闇=森」を縦軸としました。
横軸: 神VS悪魔
リチャードはしばしば「悪魔の子」として、さいなまれています。これに対立する概念は「神」ですね。『薔薇王の葬列』の舞台は15世紀イギリスですから、基本的にみんな「神」の定めたルールに従って生きています。でも、身体的な問題からリチャードは「神」の定めたルールに則って生きることができません。生きているだけで違反しています。だけど、リチャードとしては最初は神のルールに則った世界で生きていきたいと考えている。だから苦悩します。でも、様々なことを経験する中で、「悪魔」は「悪魔」として生きればいいのではと考え始めます。これも物語の中で大きな流れの一つだと思ったので横軸は「神」VS「悪魔」としました。
横軸と縦軸で区切られる4つの窓
右上:光&神 「楽園」
神の定めたルールに則り、王冠を持つ者たちのいるところ、それは「楽園」です。リチャードも「あの環の中には楽園がある」と口にしています。体現するのは第一部のヘンリーです。王であるというのはそれだけで、神の代理人であり王冠の所有者なので楽園の住人なのですが、ヘンリーはさらに輪をかけて敬虔なクリスチャンです。
ちなみにエドワード王子も楽園の住人ということにしておきました。一応正当な王位継承者でしたしね。ごちゃごちゃするので入れませんでしたが、エドワード4世やエドワード5世もこのゾーンの人です。エドワード5世は神とか楽園からかけ離れた人格に思えますが、大事なのは人格や人徳ではないのです。(たぶん)
右下:闇&神 「安息」
ヘンリーがもし約束を果たせていたら、きっとこのゾーンにいたことでしょう。ここは「安息」のゾーンです。羊飼いバージョンのヘンリーのゾーンです。輝かしい王位を捨て、森で羊飼いとして生きる、それが第一部でのヘンリーの夢でした。
左下:闇&悪魔 「夢(または悪夢)」
第一部のリチャードは悪魔の身を持ちながら、光への強い執着を持っています。しかし、ヘンリーと出会ったことで、森を選びます。それは「夢(または悪夢)」の世界です。そして、常にリチャードと共にあるケイツビーもこのゾーンにいます。
一方、王位を失い、ティレル(元ヘンリー)はリチャードの信奉者として悪魔の一味となりつつ森に巣食います。
左上:光&悪魔 「罪」
王位を希求する悪魔のいる場所、それは「罪」のゾーンです。バッキンガムは第一部からずっとここにいます。そして、ずっとリチャードに王位を狙うようささやき続けます。しかし、第一部ではリチャードは王位ではなくヘンリーの待つ森を選ぶのです。しかし、その愛の夢は破れ、リチャードは第二部で王位への憧れを顕在化させます。そして、「罪」を犯しても光を求めること決意します。もちろん、付き従うケイツビーも共に「罪」を選びます。
こうやって図にしてみると、第一部でのリチャードとヘンリーって本当に対局の存在です。一方、バッキンガムはずっとリチャードを「罪」のゾーンで待っています。第一部ではリチャードが森を選んでバッキンガムとは道を異にしますが、第二部でバッキンガムがリチャードの王冠への思いを顕在化させることで自分のゾーンに招き寄せ、ついには「半身」と名乗るまでになります。リチャードが王冠を目指す限り、バッキンガムは共にある。今号はそれが明確に打ち出された回だったのだと思います。
次回
次回は長いこと冷戦状態だったリチャードとアンの関係がついに変わる時が来そうな予感です。アンを愛する人間として次号はとっても楽しみです。そして、今回バッキンガムとリチャードは関係を深めあいましたが、そしてバッキンガムは王子亡き今、私の最愛の人なのですが、しかし、ヘンリーに翻弄されるリチャードも見てみたいという気持ちが捨てきれません。もしかしてちょこっと記憶が戻ってきてるよね…?新しい爆弾の導火線に火が付きましたよね…? でも今、羊飼いバージョンのヘンリーが戻ってきても、やっぱり二人の思いは交わらないよね…と思いつつ、次号も楽しみです。
次回のエントリ
薔薇王関連エントリまとめ