It's a rumor in St. Petersburg

アラサー学生です。主にまんがの感想を書こうと思っています。

『7SEEDS』百人一首

7SEEDS百人一首を作りました。でも本当は百人に足りなかったので四十八人一首です。

 

 

 

序歌

「目覚めた時 君たちは 天国にいるかもしれない 地獄にいるかもしれない どちらにせよ たくましく生き延びてくれることを願う」

首相 

 

1番

「僕がお父さんの代わりをするので参加させてください」

百舌戸要

全てのはじまり。

 

2番 

「それともみんな未来に行ってもこうやってじたばたするつもり?」

繭はすごくリーダーシップのある人だったと思います。このセリフはそれがすごく表れていて好きです。もし、繭が未来に行っていたら安居追放後のリーダーは源五郎じゃなくて繭だったかも。そもそも、安居が暴走する前に止められたのかも、というたらればを考えてしまいます。

 

3番

「自分で決めて自分で動いて責任をとるんだ!そういう人が未来に行かなきゃいけないんだ!」

7SEEDS』のメインメッセージの一つですね。そして、田村由美作品の多くで描かれているメッセージでもある。『7SEEDS』のキャラクターたちの中で誰より早くこのことに気づいたのは茂だったと思います。

 

4番

「なんでそこまでってききたい?そうだなあ 僕はちょっと君たちが憎いのかもしれないな」

黒野貴士

この一言が安居にとっての呪いだったと思う。貴士は「君たち」というより、世界が滅亡する時代に生まれたがゆえに自分も妻も娘も長くは生きていけないことを憎んでいて、その憎しみが安居たちに向いてしまったんだと思う。でも花が生まれて、その気持ちが変わって。この一言がなければ、安居の花に対する態度もきっと違ったのかなと思ったりします。

 

5番

「食べることにも困る世界なんでしょうか。そんな中で芸術家は必要とされるでしょうか。」

有衛キイチ

このクエスチョンも『7SEEDS』全体を通して問いかけられているテーマの一つだと思います。人が生きていくために大切なものはなにか。これに対する貴士の答えは泣けてしまいます。答えそのものと、それを答えたのが夏Aに生きていくためのことしか教えなかった貴士であることに対して。

 

6番 

神の国に至る門は狭くて二人並んではなかなか通れないのよ」

黒野美帆

十字架もかけていたし、美帆さんクリスチャンだったでしょうね。貴士がしてきたこと、全部は知らないまでもうっすらわかってはいたんだろうな。

 

7番

「最後の最後まで野球選手でいられるかって。『野球ができるか』じゃないとこがミソや」

火野武留

田村先生はお気に入りの名前を何回も使ったりしますよね。火野タケルさんは超能力労働WILD COMでもでてました。火野さんは役割柄早くからシェルターの秘密に気づいてました。

 

8番

「それは努力よ、マーク。あなたは努力してきたのよ。これからもするんだわ」

神酒マリア 

これはマークに向けた言葉であり、マリア自身について言っている言葉でもあり。マリアさんはプロとはどうあるべきかということを具現化したようなキャラクターですね。田村先生のプロフェッショナリズムが現れているキャラなんだと思う。

 

9番

「お飾りでも所長です。みんなの命に責任があります」

織田道綱

所長… 好き… 

シェルターの人たちはみんながんばったよね。自分の果たすべき役割を自覚して、最後まで貫き通す。竜宮にはそういう人たちが集まっていたと思う。

 

 

 

10番

「ぼくはとうとうみつけた」

坂田時々

私も阿Q正伝のQってなんだろうとずっと思ってる…。1Q86のQと同じでよろしいでしょうか?

 

11番

「オレらよう頑張ったよな」

各務頼一

頑張ったよ!立派だったよ。

 

12番

「ここでみんなに会えて仕事ができて楽しかったわ」

猿渡貞夫

私ももしシェルターに入れるとしたら、スタッフ側がいいな。辛かったと思うけど、でもそれでも楽しかったというのも本当だと思う。

 

13番

「ほんまはこわいよお兄ちゃん…」

茨木真亜久

自分の役割を全うしてきたマークが最後の最後に呟いた本音。本当はずっと怖かったと思う。みんな、マリアもほかのみんなもずっと怖かったのだと思う。でも、それを胸にしまって最後まで自分の役割を演じ続けた。みんな立派だった。

 

14番

命名 億人」

真野理可子

これ、セリフではないですが。でも、万の次は億。名前に託した思いが伝わるよね。いつか角又と会えるといいな。

  

15番

「オレの守備範囲は越えさせねえ。絶対に!おまえらはオレが守る!」

鮫島吹雪

吹雪…!かっこよすぎる。豪快で他のチームにはいないキャラですね。生き残ってたらどんなだったかな。安居と仲良くなってたりしたかな。最後まで野手としてチームメイトを守り抜きました。

 

16番

「行くのよ!!歩きなさい鷹!!」

神楽坂美鶴

美鶴さんも強かった。冬の二人は立派だったよね。美鶴さんも最後まで表現者として生きました。

 

 

17番

「ここはすごく未来の地球で進化の歴史を繰り返してるのかな」

野火桃太郎

歴史を知るものは未来も知る。桃太は将来的には蛍かひばりとくっついたりするのだろうか…。

 

18番

「必要じゃないかもしれないけど唇を湿らせてあげようと思って」

鯛網ちさ

こういう優しさに人は救われたりするんだよなって思います。ちさちゃんは人を思いやるとかそういうことが技術としてできる人なんですよね。もちろん、花も藤子も優しくて根本的に人のことをすごく思いやれるんだけど、気が回らなかったり、うまく表現できなかったりして人とぶつかったりする。ちさはそれを上手に回避できる人で、こういう人は貴重だなと思います。ちさの名言というと、たぶん「世間知らず」のセリフがあがりがちなのかなとは思うのですが、それ、ちさの立場からはいえると思うのですが、でも読者の視点からは私はそれは選べなかったです。

 

19番

「オレは本当におまえらを守ってやろうと思ってたんだぜ」

柳踏青

嫌い。

 

 

 

20番

大日如来…かな 荒い彫りだけど 味のある作風だね」

守宮ちまき

この彫刻をだれがどういう思いで作ったのか。伝わらなかったとしても、確かにこの時ちまきの目の前にあったと思います。

 

21番

「あたしはやっぱりついて来ない方がよかったですかって何度も言いそうになるけど、自分で言ったら最低だと思った」

岩清水ナツ

ナツも少し変わりだした頃。この思いはわかりますね。謝って、いいよ気にしないよって言われたいけど、そこまで相手に言わせてしまったらもうどうしょうもないな自分みたいな気持ち。

 

22番

「授業だあ!そうやって枠の中にいたんだよてめえはよ!行け殻を破るチャンスだぜ!」

麻井蝉丸

めちゃくちゃ言うけどちょっと優しくなってきた頃の蝉丸。めちゃくちゃ言われてもそこに愛情を感じたり、こちらも同じくらい言い返せたりするとそれはむしろ居心地がよかったりしてね。

                

23番

「僕… これからもっと役に立つはずだったのに… 悔しいなあ…」

十六夜良夜

志半ばでの退場。無念さと、でも蘭を守れたことの嬉しさが半ばなのかな。

 

24番

「戻りたくない。一緒にいたくなくてでてきたの」

新草ひばり

ひばり好きです。この子はわがままは言うけど、愚痴や弱音を吐かないんだよね。我慢強い子だと思う。人を傷つけまくりますが、でも痛みや弱さを知っている子です。

 

25番

「けど李白より人の痛みを知ってはる。そこは大事や」

角又万作

良いこと言うよね。うん、大事です。

 

26番

「あんたら趣味とか生きがいとかないの」

雪間ハル

趣味とか生きがいとか、そういうものが目に入るようになるためには余裕が必要なんだよね。人が成長し、成熟する中で初めてわかってくることだと思う。

 

27番

「10代の子たちが銃を持っている。どういうこととなのか。どう使うつもりなのか」

早乙女牡丹

牡丹姐さんは本当にいいガイド。このプロジェクトには本当に成熟した大人がいなさすぎると思う。夏Aは能力的に優れていても、まだまだ10代の子供なわけです。しかも、過酷な選抜テストを受けて精神が極めて不安定でもある。彼らを子供として扱ってくれる人の貴重さよ。

 

28番

「人が恋しい」

甘茶藤子

藤子も花もちょっと肩肘張ってる系女子じゃないですか。女の子同士きゃっきゃうふふみたいのをちょっと冷めた目でみているというか。寂しいとかつらいとかそういうことを素直に言えなくてかっこつけちゃうというか。でも、こうやって弱音はいて素直に言えるようになると、人にも優しくできるしもっと相手と仲良くなれたりするよね、と思いましたです。

 

29番

「できないって言っていいんだ」

小瑠璃

わかります。言われたことはできなきゃいけない、出された課題はこなさなきゃいけない。ノルマに追われてきた人間には「できないと言う」という選択肢がないんですよ。自分が死ぬ思いでやってきた課題を他の人が「できません」とか言ってるのを見て初めて「え?できないって許されるの?」って目から鱗が落ちたりするんですよ。

 

 

 

30番

「助けてほしい。秋も含めて」

虹子

虹子と蘭の関係が変わってきたのがわかるよね。この二人のカップリングも好きです。虹子は涼より蘭のが好きだよね。

                                 

31番

「アリ少女として生きていく…」

草刈蛍

かわいい。

 

32番

「幼虫の世話?いいな面白そう」

源五郎

ほんとに生き物が好きなんだね…。

 

33番

「待って待って待って待って涼くん。何をするかわからないけどあたしが一緒にいる方がいいことがあると思う!」

天道まつり

まつりはほんと根性あるなと思います。ここぞって時をはずさないんですよね。少女漫画って、ここで言わなきゃいけないとかそういうときにモジモジして何も言えなくて結果すれ違うみたいな展開が多いと思うんですけど、まつりはここぞって時は必ず食らいついていく。すっごく大切なことだと思う。それが人も自分も救うよね、と思う。

 

34番

「オレは誰かを犠牲にしようなんて考えたことは1度もない!!」

安居

安居…。のび太のことは一回置いときましょう。彼はリーダーとして、全体を見ていてそのために自分が我慢しているところはいっぱいあるんですよ。いつも本当に一生懸命やってきた。たぶん自分がこんな風に思われてるなんて、この時まで考えたこともなかったんだと思う。ただ、いかんせん茂のことが心に痛すぎたのだ…。夏Aのメンバーはわかってるだろうけど、他の人たちには伝わらなかったよね…。

 

35番

「お蘭さんを背負えないようならオレのいる意味はないです」

苅田葉月

苅田、いいやつ。好き。

                

36番

「させたって言わないで。あなたが主体の話じゃない。産むのはわたしよ。私が望んだからこうなってるの」

鹿野くるみ

出産の時のくるみはかっこよすぎる。本当にそう。女性に意思があって、自分で選んでそうしているんです。「させた」といういい方は相手にも自由な意思があり、責任のとれる人間であることを軽んじている発言だと思う。

 

37番

「レベル1やったらできへんかったことが今はできるかもしれんねんで」

梨本茜

人は成長していくんだなと思います。できなかったことができるようになり、それが自分も周りも助けていく。源五郎も学んでばっかいるし、いいカップルになりそう。

 

38番

「だけどそれを言ったら話はそこで終わるだろ。誰ともつきあえないじゃないか」

青田嵐

嵐のこういうところいいですよね。みんなが花や安居みたいだったら、一回関係がこじれたら全部終わっちゃう。こういう人がいるから人と人が繋がったりやり直せたりするんだと思う。花も安居も嵐のこと好きになるのは納得…。

  

39番

「自分がしたことはすべて自分に還ってくるんだ 悪いことも…いいこともな」

稲架秋ヲ

秋ヲもちさ同様、「温室育ち」のセリフの方が名言ぽいんだけど、やっぱりそっちは選べませんでした。それは内戦で殺し合いさせられた少年兵士の苦しみとエリート同士の競争に破れて自殺した人間の苦しみでどっちが辛いか比べているようなものだからさ…。ただ、秋ヲやちさは夏Aがどんな人生を生きてきたか、読者のようにつぶさに見てきたわけではなくて、口頭で概略をきいただけだし、どれだけ大変なことだったか知ったとしてもだから彼らになにかしていいってわけでもないし、彼らの立場から見ればそういう発言になるのはそれはそうだよねって思う。だけど、読者として夏Aをずっと見てきたから、やっぱり温室育ちの発言は選べませんでした。なのでこっち。

 

 

 

40番

「切る勇気なんてない」

黒野

花はいつも危険に切り込んでいってものすごく勇気や責任感があっるようにみえるけど、やっぱり本当は怖いっていうのがあるんだと思う。どんな時でも理路整然と状況を判断して自分の足を切ったりなんてできる人はいない。どんなに強そうに見えても。

 

41番

「ほっとけ。行くな安居!行かないでくれ」

涼は安居が大好きなんだよね。懇願する涼。まつりといい、蝉丸といい面倒がかかる相手が好きなのよね。

 

42番

「まあ頭の中に穴あいてる人よりイイですかネ」

八巻朔也

こういうとこが好きだよ。

 

43番

「わたしは骨になったあなたなんか見たくないしその骨を拾い集めて持ち帰ったりもしたくない」

あゆ

「それが恋なのよ…」と言いたくなるセリフですね。未来に送られた種子たちはみんな子供で、感情も発達途上。自分でも初めてもつ感情というものがたくさんある。特に夏Aは特殊な環境で育ったからいわゆる「パンピー」がみんな持っているような感情をまだ持てないでいたりする。あゆは恋愛感情に特にかけていたけど、でも、環境が変わって人と出会えば自然にそういう感情が発生する時が来る。あゆ自身も知らなかったかもしれないけど、あゆは情に厚い人だよね。人は変わっていく。成長していく。そういうことを見せてくれた人だと思います。私は『7SEEDS』のキャラクターの中であゆが一番好きなんですよ。夏Aはみんなそうだけど、本当に努力家だしね。

 

44番

「…ああ… 僕は本当に人を愛したことがないんだな…」

新巻鷹弘

これ、田村由美作品におけるキーワードの一つだと思います。たぶん、田村先生自身がずっと気にかけているキーワードなんだと思う。BASARAのイラスト集大地で「あなたって本当に人を愛したことがないのね」と言われたことがあると語ってらっしゃいました。確かに「本当に」人を愛するってどういうことだ?って思います。

 

45番

「サンクス」

猪垣蘭

虹子蘭の関係はいいですよね。これ演劇界でやったら姫川亜弓さんと北島まやなのでは。お互い高い能力を持ち、それなりに尊敬しあってるけど、決して自分の道はゆずらない!けど、相手のピンチは助ける、的な。好敵手と書いてライバルと読む、的な。テストの時は誰が死んでもかまわなかった虹子が、蘭を助けたいと思うようになり、蘭もそれを受けいれる。このバディ感がたまらない。虹子は絶対涼より蘭が好きだから…。

 

46番

「何も悪いことなんか起こってない!順調だからね!」

鷭ちゃんの超珍しい、というか唯一の大声セリフ。

  

47番

「オレがちゃんと受け止める!」

荻原流星 

くるみの訴えを聞いて流星も覚悟が決まりました。

 

48番

「ふにゃ…」

未来に来た種子たちも、さらに次の世代にバトンをつなぐ。これがこのお話の集大成なのかもしれない。