青木朋先生の『三国志ジョーカー』、2019/9/6~2019/9/19までkindleでポイント50%還元中だそうです。
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— 青木朋 (@aokitomo_zZ) September 9, 2019
で500冊ほどが50%ポイント還元だそうです。9/19まで。
「天空の玉座」
「三国志ジョーカー」
「龍陽君始末記」
「八卦の空」
買うと半額戻ってくるんだから買えば買うほどお得!(売り口上)
この機会にぜひ! pic.twitter.com/09A8H3bOGE
同じく青木先生の『天空の玉座』は最高に面白いですが、『三国志ジョーカー』も大好きです。珠玉の名作といういい方は失礼かもしれませんが、三国志をモチーフにしながら全5巻で完璧な物語が展開されている最高におもしろい作品です。読み終わった瞬間、終わり方の見事さに感嘆するはずです。ぜひぜひこの作品をもっと多くの人に知ってほしい!と思って、紹介文を書いてみます。
あらすじ
舞台は中国、時は赤壁の戦い直前の三国志の時代。スーツを着た不思議な青年・司馬懿(しば・い)は因縁の相手・諸葛亮(しょかつ・りょう)を倒すため、曹操(そう・そう)の長子・曹丕(そう・ひ)の元へ仕官します。知略と不思議な道具で曹丕をサポートする司馬懿。一方、修道士服を着た不気味な青年・諸葛亮も劉備(りゅう・び)と組んで曹操討伐を目指します。
基本的には三国志的にドンパチやっているのですが、実は諸葛亮は未来人であり、ある目的があって古代中国にきています。そしてその目的に深くかかわる司馬懿。三国の戦いに混じってこの二人が因縁チェイスを繰り広げます。
おすすめポイント
完璧な物語
まさにこのセリフの通りです。三国志をモチーフにしながら、全5巻で物語が完璧に完結します。特にラストシーン、物語を締めくくる司馬懿の一言は感嘆しました。登場人物の服装、持ち物、関係性、過去、始まりと終わり、その全てに意味があります。
登場人物は必要最低限に絞られており、諸葛亮にスポットを当てた物語ながら、なんと張飛の名前が全5巻中3巻まで出てきません。一方で、「医聖」張仲景(ちょう・ちゅうけい)が登場するなど、あくまで三国志はモチーフです。散りばめられた全てのエピソードは結末に向けて収束していきます。一度読み終わったところで、司馬懿と諸葛亮の服装の意味、全て終わった後に残ったもの・変わったことはなにかということについて考えてほしいです。それこそがこの作品のテーマだと思うからです。
作者の青木朋先生は『三国志ジョーカー』の次作『天空の玉座』でもとても緻密な物語を描かれており、伏線を効かせたり、キャラクターやエピソードを効果的に配置したりといった複雑な構成の物語を創られる作家さんなのだと思います。『天空の玉座』も最高におすすめです。
壮麗なる中華世界
ともかく画面が美しいのです。殿舎の壮麗な様子や、景色の雄大さ、草木のたたずまい、まさに古代の中華世界の中にいるかのような画面です。趙雲が劉備の娘を見初めるシーンでは、朝日のさす庭をうるわしの乙女が歩く姿が描かれています。朝の明るい静けさと乙女の瑞々しさが立ちのぼるような画面です。一方で別のシーンでは古代の夜の暗さ、うっそうとした森の様子、照らす月の光の明るさなども描かれ、今とは違う時代ということをひしひしと感じます。仙姑事件では仙姑の妖しさと夜の闇の不気味さがあいまって、古代中国の夜に誘われるかのようです。
見開きで描かれている絵も多く、個人的には電子書籍で大きめのタブレットを使って見開きで読むのがおすすめです。私は12.9インチのiPadで読んでいます。ほうっと声が出てしまうような美しい世界に迷い込めますよ。
曹丕ラブ
登場人物が魅力的なんですよ~~~。私は、曹操の長子・曹丕が好きです。傲岸不遜な貴公子、たまりません。長男らしく、兄弟を実はとても大事に思っているところがまたよくて、曹丕・倉舒兄弟のエピソードが好きです。スマートで知的ながら熱い男、主人公・司馬懿と偏執的な諸葛亮もいいですね。司馬懿含め、古代の偉い人たちはたちは基本的にヒューマニスト度が低いのもリアルな感じでいいです。諸葛亮についてはあんた、ヨーロッパで人権教育受けてこなかったの?ってかんじですが、彼は「人」に興味がないんですよね。司馬懿以外はどうでもいい。それが少しずつ変わっていくところも見どころの一つです。女性キャラでは妹妹が好きですが、この子の未来は…とか調べると、ええええってなります。張叔華と司馬懿も未来も見てみたいですね。同じく青木朋先生の『八卦の空』で読めると言えば読めますが、別の世界線の話だと思いたいところです。
まとめ
5巻、もっとこのお話を読みたい、と思う一方、最後の一言を聞いてしまったら、このお話は完璧に終わったんだと思わざるを得ません。短いけれど濃密な物語の世界をぜひ堪能してください。
他の青木作品について