Have you heard, it’s a rumor in St. Petersburg?
ブログのタイトルやツイッターのアカウント名からお察しの方もいらっしゃるかもしれませんが、わたくしはミュージカルアニメのアナスタシアが大好きなのです。
アニメ映画のアナスタシアというのは、20世紀初頭のサンクトペテルブルクとパリが舞台の物語で、 ロシア革命の際に処刑されたはずの皇女アナスタシアが実は生きていて、唯一の肉親であり生き別れになった祖母を求めて旅をするという、いわゆるアナスタシア伝説を題材にした物語です。
実際のアナスタシア伝説については、長らく歴史の謎とされてきましたが、現在では遺骨のDNA鑑定により皇女アナスタシアは家族と共に処刑されたことが明らかになっています。
が、この舞台の元となる映画が製作された1997年当時はまだ鑑定がされておらず、真偽不明の大いなる歴史の謎という扱いでした。
いやーけっこう最近までわかってなかったのね〜って感じです。
伝説には決着がついてしまいましたが、真実が明らかになった今でも歴史のifストーリーとして素敵だと思っています。
そのアナスタシアが数年前ブロードウェイで舞台ミュージカル化されたと聞いてずーーーっと観に行きたいと思っていたのですが、なんと2019年にドイツ・オランダ・スペイン、2020年には日本でも上演が決定しました。
本当はブロードウェイか日本公演がみたいけど、ちょっと行くのが難しそうなので、ドイツに観に行ってきました。
ミュージカルとしてのこの作品はともかく楽曲がものすごく素敵です。
特にメインテーマの『Once Upon a December』が大好き。
切ない歌詞とメロディーにロシアのエッセンスが入っているところがたまらなくいいのです。
映画版では、主人公が廃墟となった宮殿で亡き家族たちと踊りながら歌う曲で、失われてしまった過去の世界の美しさとその悲劇性が魅せる名シーンです。
子供の頃、VHS(!)で何度も繰り返し見ました。
今はアマゾンプライムで観られるのでいい時代になりました…。
感想
楽曲
生の歌唱と生のオケの迫力がすごいです。
『Once Upon a December』のメロディーが生オケで流れてきた時は感動しました。
そうか、ミュージカルだもんね、オルゴールの音色も生オケで演奏だよね!
そして、オープニングの『A Rumor in St. Petersburg』は街の人たちが軽快に歌い踊る姿は耳と目が幸せ。
ミュージカルってオープニングの楽曲に命をかけている感じがありますね。
観る側としてもあの音と歌の洪水みたいなものを観に行ってるところがあります。
前半の締めの曲は『Journey To The Past』なのですが、アーニャ役の女優さんの熱唱で、最高に盛り上がって締まりました。
これまでそこまで好きな曲ではなかったのですが、すごく好きになっちゃいました。
ミュージカルのオリジナル曲にディミトリとアーニャのデュエット曲があったのですが、ちょっと物悲しさのあるすごく綺麗なメロディーでそれも良かったです。
また、ボリシェヴィキの将軍グレブ(ミュージカル版オリジナルキャラ)と皇太后役の役者さんがめちゃくちゃ上手くて、声の響きが圧巻でした。
グレブ役、日本版では山本耕史さんと堂珍嘉邦さんが演じるそうです。
山本耕史さんのヒールはかっこいいだろうな〜と思いつつ、堂珍嘉邦さんの歌はきっと素晴らしいだろうな思うので迷っちゃいますね。
名シーン
アーニャが『Once Upon a December』を歌いながら、ロマノフ朝時代の亡霊たちと踊るシーンは最高に綺麗です。
やっぱりアナスタシアといえば、このシーン!
アニメ版では廃墟となった宮殿が舞台でしたが、ミュージカル版では血の上の救世主教会前から始まります。
空が暗くなり、雪がちらつく中、アーニャが歌い出し、舞台は追憶の中の宮殿へ。
彼女の孤独で悲劇的な境遇を表した美しい演出だなと思いました。
その後、皇帝一家や取り巻きの貴族の亡霊たちと歌い踊るのはアニメと一緒です。
このダンスシーン、ミュージカルでは亡霊たちが超豪華なロマノフ朝時代の衣装で現れ、ダンスも貴公子たちが皇女たちをリフトするなど華やかで幻想的ななシーンとなっていました。
これを観るための舞台ともいえるぐらいの見応えです。
ブロードウェイ版がYou Tubeにあがってました。いい...
360 Video: On-Stage at Broadway’s “Anastasia”
また、ミュージカル版オリジナルのシーンで、パリの夜の社交場のシーンがありました。
パリジェンヌたちが軽やかで煌びやかな衣装をひらめかせながら踊る姿はこれまた眼福。曲はオリジナルのものでした。
後半の目玉シーンです。
衣装
超豪華・超煌びやか。
壮麗で大時代的なロマノフ朝の宮廷衣装、パリの街娘たちの軽やかでモダンな服装、パリ社交界の洗練されてゴージャスなドレス、夜の社交場のちょっとエロティックな装い、オペラ座での鮮やかなドレス、ラストシーンのプリンセスドレス、と場面に応じて次々とゴージャスな衣装が登場します。
どれも甲乙つけがたいです。
ロマノフ時代の衣装の壮麗さは言わずもがなですが、オペラ座でのアナスタシアの青いドレスはアニメの再現ドレスになっていて「アナスタシアだ!!」って感じがしてよかったです。
ストーリーがアップデートされている部分はドイツ語がわからず正直ついていけない部分もありましたが、それでも歌とダンス・衣装のパワーで舞台を堪能することができました。
楽曲のもつ力はすごいです。
カーテンコールで一人一人のテーマソングが流れるのもよかった。
ミュージカルとはストーリーのみで楽しむものに非ずと実感しました。
日本版とブロードウェイ版もぜひ観に行きたいです。