It's a rumor in St. Petersburg

アラサー学生です。主にまんがの感想を書こうと思っています。

【レポ】コミコン・イスタンブール2019 テレビ東京ショー ① 阿部記之監督トークショー

 トルコで開催されたコミコン・イスタンブール 2019に行ってきました。コミコンというのはアメリカ発祥の映画・コミック・アニメ・ゲームなどのポップカルチャーを扱ったイベントで(wiki調べ)、イスタンブールで開催されるのは2017年以来、3回目だそうです。

 

COMiKON İstanbul 2019 - Comikon-Istanbul

 

 今回の目当ては10月20日の午後に行われたテレビ東京ショー。阿部記之氏(アニメ監督)、古谷徹氏(声優)、山口由里子氏(声優)がゲストとして招聘されていました。超豪華!一方、観客側も400人以上入るホールは満席かつスタンディングも出るほどの人気ぶり。全1時間のプログラムで、最初にテレビ東京の紹介、阿部氏のトークショーがあり、古谷氏・山口氏のトークショー、最後にファンにちょっとしたプレゼントがあって終了という運びでした。

 

 

 

阿部記之トークショー

 阿部氏がトルコ語で自己紹介すると、会場からは大きな拍手。大歓迎です!その後、司会者からトルコ語で阿部氏のキャリアの紹介が入りました。『BLEACH』、『BORUTO』という単語が出た瞬間、会場のファンが一斉に拍手!これらの作品がとても愛されていることがよくわかります。この後、司会者や会場のファンからの質問に阿部氏が応える形式でプログラムが進行していきましたが、トルコ語が分からなかったので、阿部氏の解答だけ要約して書きます。

BLEACH』について

・『BLEACH』についてはみなさんよく知ってので細かく説明は必要ないかな?一番最初のルキアを助けに行くエピソードでは、ルキアを助けるために主人公が修業して強くなる。最終的に(死神の世界の)古い慣習を打ち破ってルキアを助ける。非常に熱いドラマ。


**ここで『BLEACH』の一護が初めて斬魄刀を抜くシーンの映像が流れる**


・今見ても非常にエキセントリックで残虐なシーン。こうしたシーンはたくさん作品内にでてくる。しかし、この作品は残虐なだけではない。主人公の名前は一護、守るという字が入っている。誰かを守るために戦っており、単純に強くなりたいというだけのドラマとは違う。
・敵や悪者がいるが、みんなそれぞれ自分の背負っているものがあり、バックボーンがある。そこに気を付けている。
・この作品の製作が開始されたのは15年くらい前。当時はスタイリッシュな画面というのはまだほとんどなかった。だが、原作者の久保先生が非常にそこ(スタイリッシュさ)に興味を持っている方だった。原作のコミックスの表紙や扉絵も非常にスタイリッシュにデザインされている。アニメを製作するにあたっても、特にオープニングはテロップを画面の中に入れ込むなど(スタイリッシュに仕上がるように)試みた。それ以来、特にオープニングではデザイン的な要素のある作品をつくったりするようになった。その手法は『BORUTO』にも使われている。

BORUTO』について

 ・『BORUTO』は現代っ子。ボルトにはまず『NARUTO』という720話ぐらいあるアニメがある。世の中が5つの国にわかれて争っている時代で、忍者はちょっと辛い立場。最終的にナルトによって国々が大きな敵に向かってまとまっていくというのが『NARUTO』。『BORUTO』はそこから十数年たった世界。世界としては安定しているが、逆に言うと忍びとしては自分たちの生き方がちょっとみえないという現代っ子な世界観というのが『BORUTO』。『BORUTO』は今も連載が続いている。きっとボルトは今後、自分がどうするのかという答えをみつけていくんじゃないか。

 

**ここで『BORUTO』の戦闘シーンの映像**


・今見てもらったのはボルトが相当頑張っているシーン。やはりナルト世代が偉大。大人でもあるし、世界を救ったナルト、それ以外にもサスケだったり強いキャラクターがいる。現場で僕らはレジェンドキャラと呼んでいるが、ボルトはまだ子供なので、彼らを凌駕してしまうとナルト世代に申し訳ない。そこの力関係が作っていて大変なところ。
・すごいアクションを僕らは作りたいといつも思っている。でもどんなすごい映像を作ってもあまり長いと観ている側は飽きてしまう。メリハリが大切。最後に劣勢から跳ね返す、そこでかっこいい忍術ができればといつも思っている。

 

 

 

会場からの質疑応答

 質疑はわからないので応答だけですが…
・『BORUTO』には原作がある。僕らの苦労は、漫画より先に進めることができないこと。ただ、週刊の漫画3話でアニメ1話が割と平均的なので、必ず2~3年たつとアニメが追いついてしまう。その時に、アニメのオリジナルシリーズを間に入れて調整するが、そのシリーズの中でキャラクターが新たに成長できない。これは実際かなり大きな問題として直面する。それを解決するために、もちろん僕らが努力するしかないのだが、原作者さんと相談して一部作ることもある。
イスタンブールは東西の文化が混ざっていて歴史のはざまというところに強く興味をもった。

会場の皆さんへのメッセージ

・たくさん集まってくれてありがとうございます。この仕事を30年くらいしている。僕らの作ったものが世界の方々に理解してもらえて、楽しんでもらえるのは非常に嬉しい。世界中の文化が混ざりあって、いろいろな話ができると思っている。イスタンブールを舞台にした話があってもいいんじゃないかな。いつかできたら。

 

 会場から万雷の拍手が送られる中、阿部氏のトークショーは終了。話を聞いていて確かに!と思うことがたくさんあって面白かったです。オリジナルストーリーでキャラクターを成長させられないというのは言われてみればそうですよね。オリジナルストーリーでトラウマ乗り越えたり、新しい技覚えちゃったらその後のストーリーとかみ合わなくなっちゃういますもんね。でも、オリジナルストーリーはオリジナルストーリーで試練を乗り越えているのに、成長しないのも…  難しいですね。今、『BLEACH』のオープニングをみながらこの文章を書いているのですが、確かにスタイリッシュ! あわせている曲もオレンジレンジアスタリスクYUIのRolling starなどかっこいい曲が多いです。アスタリスクは、こういう曲がアニメのテーマソングなんだ~って当時びっくりした思い出があります。

 

古谷徹氏・山口由里子氏のトークショーは次回に続きます。