『7SEEDS』についてひたすら語りたくなりました。
夏のA編こと、穀雨の章について考察のような感想のようなものを書きます。
穀雨の章について
『7SEEDS』7巻~9巻途中まで展開される夏のAのストーリーです。
作中で、最も古い時期の話の一つであり、他のチームに先駆けて組織された夏のAメンバーの成長及び選抜が描かれた章です。
出てくるタイトルやキーワードは暗示に満ちている気がします。
※※2020年2月10まで7巻が無料です。
章のタイトル『穀雨』
『7SEEDS』には各章ごとに章名が、各回ごとにサブタイトルがついています。
「穀雨」は1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けた二十四節季の言葉です。
二十四節季のうち、6番目、春の最後の節季で、現在の暦でいうと4月下旬ごろのにあたるそうです。
ググりましたところ、「春雨が百穀を潤すことから名づけられたもので、雨で潤った田畑は種まきの好期を迎えます」とのこと。
『7SEEDS』プロジェクトの最初の種子として夏のAが選ばれ、眠らされるまでの話ということでこのタイトルが選ばれたのかと思います。
サブタイトル
サブタイトルはクラシックの曲名がついています。
これは要さんが音楽を夏Aの教育に絡ませたことからでしょうか?
各章のタイトルについて、気になったものだけまとめてみました。
1話 ワルキューレの騎行
ワグナーのオペラ『ワルキューレ』で使われている楽曲。
ワルキューレというのは、戦場で生きる者と死ぬ者を定める女神のことだそうです。
今思えば、1話から夏のAメンバーの生死がかかった選別が暗示されていたのだ…
ノルウェーの作曲家、グリークによる戯曲『ペール・ギュント』のための楽曲。
放蕩者の主人公ペールがサハラ砂漠の朝日をみながら、新しい人生を生きる決意を固めるときの曲だそうです。
安居たちが成長していく成長していく様子、競い合い刺激を受けながら伸びていく様子が「朝」なのかな。
10話 組曲<惑星>より 火星
火星、戦いをもたらす者。
木星、快楽をもたらす者。
惑星についてはどちらも先生たちについてさしているのかと思います。
戦いを引き起こし、それをみてきっとどこか楽しんでいた。
ロシアの作曲家、ムソルグスキーによる楽曲。
物語中で茂が言及していますが、ここでいう小人は地中に暮らす精霊グノームのことだそうです。
金銀を守り、鉱脈に詳しいとされている精霊で、これは彼らが迷い込んだ地下が佐渡の鉱脈であるということの暗示だったのだと思います。
その他思ったこと
「いいですね、幸せで」
貴士は安居のこの一言が気に触ったんだと思います。
妻も子供も自分自身も滅んでいく側の人間として。
その返答として、貴士と安居の最後の会話があり、これが安居にとって呪いになったのだと思います。
そして、そのたった一言が安居と花のその後の人生に取り返しのつかない大きな影響を与えたと思います。
『ミステリと言う勿れ』で、セメントにものを落とされた子供の話が出てきますが、夏Aたちはセメントをめちゃくちゃにされた子供たちだったと思います。
貴士はきちんとした登場はこの章が初めてです。
実は貴士って回想というか、過去の時制でしか出てこないんですよね。
しかし、その回想をつなぎ合わせていくと過去の世界で彼が変化していることがわかります。
実質的な最終巻である外伝に収録されている『ー名もなき腕ー』で出てくる時は、おそらく花たちが送られる少し前の時期でしょうか。
キイチの最後の問いに対する貴士の回答には胸をうたれました。
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夏Aたちの課題
教師たちが彼らに課した課題とは別にこの章は未来で彼らが向き合うべき課題が提示されている章だったと思います。
安居:良かれと思って行動しても独善的な部分があり、肝心な時に人と揉めて力が出せない。
涼:「正解」に囚われている。人生に「試験」と「答え」があると考えている。
小瑠璃:大切な瞬間に力が出せず、取り返しのつかない結果を招いた。大切な人が苦しんでいる時に間に合うことができなかった。
虹子:誰にも関心がない。
中にはこのテストがなければ抱えることのなかったトラウマもありますが、これらの課題をクリアしていくというのがこの物語後半の大きなキーであると思います。
ちょっと気づいたこと
・ミサンガの色、野ばら・赤、繭・黄、小瑠璃・青というのは、信号機の色から来ているのかなと思いました。
未来へ行くのは小瑠璃という暗示だったんだと思います。
・医療クラスにDr. サンダース登場。
彼は田村先生の作品に共通して出てくるキャラクターですね。
『シカゴ』に彼の短編が掲載されています。本編にもでてきますが…
※※2020年2月10日まで『シカゴ』1巻が無料です。
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