※※感想を書くのに必要な範囲でネタバレがあります。
プリンセス2020年5月号、『薔薇王の葬列』63話の感想です。
刮目必須の巻頭カラー38P!!
— 月刊プリンセス編集部 (@gekkan_Princess) April 6, 2020
💛菅野 文「薔薇王の葬列」 pic.twitter.com/X5NN4IOdoc
「待っていたよ、ヘンリー…」で3ヘンリーが画面上一堂に会するシーンがドラマチックでした。
ノリノリのリッチモンド、固まるバッキンガム、ナイフ抜いて臨戦態勢ティレル。
バッキンガム、一番圧されてるよ!がんばって!
感想
リッチモンド劇場
今回のお話は演出がすごく舞台的だな~と思いました。
原案『リチャード三世』では、冒頭に主役リチャードが悪党宣言をして、「筋書はできている!」と観客に語りかけるわけですが、今回のリッチモンド氏の「ところで正義って?」からの独り言は正義宣言からの「運命は最初からきまってるのさ」でめちゃくちゃそのシーンに重なりました。
舞台上で一人スポットライトを浴びて、物語の進行とは別のレイヤーで観客に語りかけているような演出だなーと思いました。
また、スタンリーとのお話の後の役者から使用人へ、今回の道化から兵士への早着替えも、舞台上で一人の役者が何役も演じるときにアイコニックなモチーフをどんどん替えることで役を演じ分けていく演出みたいだなと思いました。
リッチモンドのポジションって、『リチャード三世』におけるリチャードのポジションに近い気がします。
原案の方では、リチャードが悪党宣言をして王位を目指して人を陥れていくわけですが、『薔薇王の葬列』ではリッチモンドがヒーロー宣言をして王位を目指して人を陥れていくんだな~と思いました。
言葉と内心は裏腹、人を陥れたり命を奪うことも気にせずという人物造形も原案のリチャードに近いなと。
『リチャード三世』原案の物語の中でリッチモンドがリチャード三世役やりだしたぞ… ざわ…ざわ…みたいな気持ちで読んでます。
「リッチモンド…役者か…!」と思ったら、そういえばこの人、物語中の役割で本当に役者をやっていて劇中劇の役者役の役者みたいな感じなんですね。
世界の関節をはめ直す前にお前の関節を全部外す
ちょっとそういう気持ち。だってリッチモンドさん怖い。
フォロワーさんのツイートで知ったのですが、「世界の関節をはめ直す」というのは『ハムレット』にでてくる有名なセリフなんだそうです。
ググってみたところ、本来なら父王の後を王子であるハムレットが継ぐというのが正しい筋道であるのに、叔父によって王位を奪われたことを指して「世界の関節は外れてしまった」とハムレットは嘆いている(という解釈がある)そうです。
つまり「関節をはめ直す」というのは王位を継承の筋道をただすという事を指していると。
そんでリッチモンドさんも世界の関節をはめ直したいと。
ヘンリー六世ぐらいまではめ直してみる?まだ生きてるので可能。
ところで、登場人物のみんなすごいがんばって血脈の正当性とか証明してるのに、一番正当性高いのがティレルってめちゃくちゃおもしろくないですか?
私いつも「だってヘンリー六世生きてるし」「でも順位で言ったらティレルじゃん」と一人で突っ込んで一人で笑ってます。
ヘンリーが生きている&子エドが直系と知ってショック受けるリッチモンドの顔が見たいです。
「正義の英雄」というのも気になるワードでした。
今まで、『薔薇王の葬列』の中で「神」「悪魔」「光」「罪」というワードはたくさん出てきたけど、意外と「正義」と「悪」の概念はなかったな~と思い至りました。
そして、「正義」はみんなが好きな方と。
今までの概念は人の手の及ばない領域のものだったのに、一気に人の世界の話になってきたな~とちょっと気になりました。
「伝説が終わり、歴史が始まる」的な、「神話の時代の終わりが近づいている」的なあれがふと脳裏をよぎりました。
瞳の中のクロスロード
瞳の中に十字切ってるアンの侍女、リッチモンドのママでしょうかね?
リッチモンド氏、眼の中に十字があるのはママの遺伝かな。
それとも、リッチモンドに洗脳された女性は眼の中に十字が浮かぶのかな?
侍女が道化を観たがってるからという理由でアンは道化を呼んだわけで、リッチモンドに全面協力ですね。
感情見えなくて怖いです。
今回はキャラの心情的に苦しい展開で、リッチモンドもティレルも怖いし、アンも不満をためてそうだし、早くベスに戻ってきてほしいです。
癒しが欲しいです。
白いのはどこに行ったんだい?
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