It's a rumor in St. Petersburg

アラサーOLです。主にまんがの感想を書こうと思っています。

【感想のような考察のような】『7SEEDS』 ふと気づいたこと

 

 

 毎日『7SEEDS』を読んで号泣しています。読んでるといきなり今まで全然気づかなかったことに気づく瞬間があります。そういうことをまとめてみました。もしかして皆さんは「そんなん初見で気づいてるわい!」って感じかもしれません。すみません。あと、未読の人にはネタバレになっちゃう部分もあるのでご注意ください。

美鶴の踊りの意味

   実は私、ここの意味がずっと分からなかったんですよ。鷹に衣類を全て譲って自分は凍死。死を覚悟して最後に好きな日本舞踊を…ってことだったのかなあ?とか思ってました。(二人で温めあえばいいのではとか思ってましたが、後々小瑠璃が低体温症の時はやってはダメと言っていますね) 夕鶴になぞらえたセリフも、吹雪との約束が果たされなかったことを夕鶴を重ね合わせてるのかな?と。でも、その解釈は自分としてもいまいち釈然としていませんでした。しかし、今日、昼休みに4巻をを読み返していて突如として分かりました。あれは、ずっと"つう"の悲しみ理解できず解釈ができなかった美鶴が吹雪との別れによって"つう"の気持ちを理解し、自分の舞を芸術として完成させるシーンなんですよ!

 美鶴は未来に来る前から踊りの解釈ができないことについて悩んでいました。春に吹雪に手紙を書いたというのも、踊りに行き詰ってのことでした。しかし、吹雪と出会い恋をして、さらに約束が果たされないまま吹雪を失ったことで、人を愛することと失うことの悲しみを理解する。最後の踊りの前に、夕鶴の内容についてブツブツ呟いているのは、決して守られなかった約束を恨んでいるとかではなくて、彼女の中で夕鶴の解釈が完成していく情景なのです。つまり、美鶴の表現者としての覚醒のシーン。そしてその後一人、雪原で舞い、夕鶴の舞を完成させる。しかし、その完成した芸術を観るものも、それに喝采するものもそこには誰もいない。半死半生をさまよう鷹だけが夢うつつのなかでそれを観ています。それでも、彼女は息絶える最後の瞬間まで舞い続ける。このシーンは最後の最後まで表現者であり続け、あまりにも孤独な芸の道をいく美鶴の姿が描かれているシーンなんですよ。吹雪との別れすら芸として昇華させて彼女は逝くのです。

 鷹が美鶴より美しい人は誰もいない、と後にいいますが、これはある意味当たり前のことですね。彼は美鶴が命がけで完成させた最高峰の美に触れた人なんだからね。そう考えるとあゆの夕鶴に対する理解0な感じは美鶴とめちゃくちゃ対局でちょっと笑えます。一方、自分の命を捨ててさえ、目標を達成することを目指してしまう鷹はどこか美鶴と似ているのかもしれないと思ったりしました。

 

 

安居が十六夜を撃ったわけ

 安居が十六夜(狙ったのは蘭だけど)を撃つシーン。これ、さすがに獰猛すぎない?って思っていました。やっぱり殺伐としたテストを受けたから、イラッとしたらすぐぶっぱなしちゃうのかしら?とか思ってました。これ、穀雨の章に伏線がばっちりあることに気が付きました。

 涼と安居が射撃の対決をしたときに、涼が子供の人型を撃つシーンがあります。安居が子供を撃つ理由を涼に問いただすと、涼はその子供は伝染る病気もちだったと答えます。そして、勝負は涼の勝ちと判定された。害のあるものは例え殺してでもとりのぞく、それが正しいことだ、正解だと安居は刷り込まれているんですよね。

 果たして、現実で安居は伝染病に感染したかもしれない人を撃ち殺しました。結果、彼はそれを死ぬほど苦しむことになる。安居、報われない…。

安居の笑顔

 安居、テスト以後ずっと、表情がないんですよね。そして、新巻に石を投げられて以降、指も動かなくなってしまいます。

 縦になる船の中で、安居が夢(?)の中で茂と会います。安居と茂が握手をして、茂が「またね」と言う。(今思えば、これ、めちゃくちゃ佐渡編の伏線です。そう、茂と安居はもう一回会うのだよね。)この時を境に、安居の指がまた動くようになります。

 佐渡では茂の遺体を見つけます。そして要さんと話して、安居の表情が動くようになる。そして、茂を背負って岩を時、やっと少しだけ笑う。これ、35巻のことですよ!安居、20巻の夢の中ですら笑っていません。つーか7巻から一度もない。安居、不憫…。

 

 

家路 乙女の祈り 別れの曲

 このお話はいろいろなクラシックの曲がでてきますね。特に象徴的なのは「別れの曲」「乙女の祈り」「家路」かな。特に夏Aにとっては音楽は生活やテスト共にあったものだから、場面場面で象徴的に使われています。

 

「別れの曲」:夏Aのテスト開始時に流れていた曲。夏Bと合流後、オルゴールの「別れの曲」をきいて、安居と涼のテストスイッチが入る。

乙女の祈り」:小瑠璃が繭のもとに向かう前にみつけたオルゴールの曲。その後、ハルの演奏を聴いて涙。

「家路」:夏Aテスト終了時にかかっていた。最初に夏Aとその他のチームが接触した時にハルが吹いていたため、安居逆上。

 

 「家路」は私も個人的に好きな曲です。ある意味、夏Aの旅は佐渡へ向かう旅であり、それ自体が家路だったのかも。ちょっとぐぐってみたところ、この3曲はどれも1800年代の音楽家の作品です。「別れの曲」はポーランド出身の作曲家ショパン、「乙女の祈り」も同じくポーランド出身の作曲家テクラ・バダジェフスカ、「家路」はボヘミア出身の作曲家ドヴォルザークのものです。1800年代のポーランドボヘミアの出身の作曲家の作品をあててくるのは偶然じゃない気がしています。特に「家路」は「新世界より」と副題のつく交響曲の一部です。この「新世界より」は『新世界アメリカから故郷ボヘミアへ向けてのメッセージ、といった意味がある』とウィキペディアに書いてありました。未来いながら故郷に強く縛られる安居たちを象徴する曲としてふさわしいのかも。

 余談ですが、今読むと、要さんが音楽をかけてくれるのにレコードを使ってるんですよ。もともと夏Aの育った施設ってテレビとかないのであんまり時代を感じないんですけど、今思うと確かに2000年頃の17年前って感じですね。パソコンも分厚い。一瞬、巴がゆく!!を思い出したよ。安居たちって静姐さんと同世代くらいなのかな。

 

7SEEDS 4 (フラワーコミックスアルファ)

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