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アラサー学生です。主にまんがの感想を書こうと思っています。

2019年 面白かった漫画10作品

 2019年もそろそろ終わりなので、私の2019年ベストマンガをまとめてみました。2019年に読んでともかくおもしろいと思ったもの10作品です。順番は思いついた順です。

 

 

 

2019年面白かった漫画 10作

No.1 ヴィンランド・サガ 

ヴィンランド・サガ(8) (アフタヌーンコミックス)

ヴィンランド・サガ(8) (アフタヌーンコミックス)

  • 作者:幸村誠
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/28
  • メディア: DMM版
 

作者:幸村誠

掲載:月刊アフタヌーン

概要:2019年NHKでアニメ化。1000年ごろの北ヨーロッパを舞台にバイキング達の活動を描く物語。主人公トルフィンは父を殺したヴァイキングを倒すために自らもヴァイキングになる。成長したトルフィンはデンマークイングランド遠征を契機にデンマーク王家の内紛に巻き込まれていく。

感想:人の絶望を見たい人におすすめ。このお話、第一部と第二部で話が180度転換します。第一部で『ワンピース』やってたと思ったら、第二部『るろうに剣心』に。私は第二部が一番好き。トルフィンが農場の客人に痛ぶられた時に吐く一言があまりに痛々しく、その痛々しさの表現が完璧だと思います。この作品ではギリギリのところにいる人たちの苦しみ、絶望、そういった感情の表現がすばらしいと思う。アニメのシーズン1を観た人は8巻から読むとちょうど続きからです。

No.2 恋するワンピース

恋するワンピース 1 (ジャンプコミックス)

恋するワンピース 1 (ジャンプコミックス)

 

作者:伊原大貴 

掲載:ジャンプ+

概要:ワンピースのパロディーで、普通の高校生の高校生活のお話。ワンピースマニアの高校生・中津川嘘風(なかつがわ・うそっぷ)が海賊部で大暴れする姿を楽しむ漫画。ジャンプ+のコンテスト「ヤバイ奴ら甲子園2019」で堂々優勝。

感想:科学技術を駆使して学校を燃やしたり他人の記憶を(科学的に)改竄したりする嘘風。現実世界にワンピースの世界観を再現するため、倫理も法も超えていきます。『犯人の犯沢さん』で蘭姉ちゃんの心は死んでいるが、菜美さんの心も本当はもう死んでいるんだと思います。嘘風が指差しながら☆を飛ばす仕草が好き。ヴァイキングでも襲撃してきたのか?というレベルの惨事がたびたび起こっているのに重さがゼロなところが◎。トルフィンもこれくらい軽くなれたら幸せになれる。

ジャンプ+公式サイト・アプリから無料で読めるのでぜひ読んでみてほしいです。

shonenjumpplus.com

No.3 7SEEDS

7SEEDS(16) (フラワーコミックスα)

7SEEDS(16) (フラワーコミックスα)

 

 作者:田村由美

掲載:flowers

概要:隕石衝突により文明が滅びた世界で、わずかに生き残った若者たちが生きていくというお話。2019年にネットフリックスでアニメ化、2020年にシーズン2が放映予定。作者は『BASARA』の田村由美先生。

感想:この物語では各登場人物がそれぞれの課題を抱えて生きています。私は冬のチームの鷹と夏のチームの安居が不憫でたまらないです。それは鷹が「時間」、安居が「罪」という取り戻すことのできない不可逆の重荷を背負って生きていく人だから。人がのたうち回る姿を観たい人におすすめです。彼らの荷物は永遠に取り除かれることはなく、重く苦しい。2019年は15年くらい謎に思っていた美冬の舞についての疑問が解けました。15年って、鷹が一人で生きてきた時間と一緒ですね。鷹、長かったね…

アニメのシーズン1を観た人は16巻から読むといいかなと思います。

 

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No.4 進撃の巨人

進撃の巨人(23) (週刊少年マガジンコミックス)

進撃の巨人(23) (週刊少年マガジンコミックス)

 

 作者:諌山創

掲載:月刊別冊マガジン

概要:巨人と人類が戦う話。2019年アニメのシーズン3が放映。

感想:今年のある日、アニメを偶然観たらとても面白かったのです。このお話って面白いんじゃなくて、超絶面白いのでは…?と思って漫画を読んだら、びっくりするほどものすごく面白かったのでとてもびっくり。ワーラーでエウレーカ。ライナーが好きです。エレンとの再会のシーンでつぶやいた一言がよかったです。絶望している人の絶望を凝縮したような一言が好きです。

 アニメのシーズン3を観た人は23巻から読むといいと思います。私の大好きなガビさんも登場します。

 

 

No.5 王妃マルゴ

王妃マルゴ 1 (愛蔵版コミックス)

王妃マルゴ 1 (愛蔵版コミックス)

 

作者:萩尾望都

掲載:ココハナ

概要:「あなたの恋人の名は"アンリ"、あなたの結婚する相手の名は"アンリ"、そしてあなたの敵の名は"アンリ"」。宗教戦争に揺れる激動の16世紀、「国家の財産」フランス王女として生まれたマルゴ。国家間の駆け引きや宮廷の陰謀の中心に立ち会うことになる。

感想:死と暴力があまりに身近な時代。現代の感覚からすると、この時代に王族であること、女性であることはほとんど人として生きることを否定されているようなものだと思う。恐ろしく美しい悪夢の世界が延々と続いていく。この作品を読んでいると、マンガにおける絵の力というものを感じる。マルゴの妖艶な美しさとか初恋の甘美さとか、そういったものが絵で全部わかるというか、言葉はいらないという感じ。

 

 

 

No.6 怪物少女は初恋の夢を見るか?

怪物少女は初恋の夢を見るか? 1 (ジャンプコミックス)

怪物少女は初恋の夢を見るか? 1 (ジャンプコミックス)

 

作者:在間りしん

掲載:ジャンプ+  

概要:世紀の大天才兼現役女子高生・御門台鏡子(みかどだい・きょうこ)と幼なじみ奏助が様々な問題を解決しながら高校生活をエンジョイする話。

感想:全ての問題は鏡子による「私だぞ?」で解決。最近、バージョン2「私だが。」も登場。ともかく鏡子のキャラクターがいいです。ゲームの世界で鏡子が活躍する話が好き。

ジャンプ+公式サイト・アプリから無料で読めるのでぜひ読んでみてほしいです。

shonenjumpplus.com

No.7 大奥

大奥 17 (ヤングアニマルコミックス)

大奥 17 (ヤングアニマルコミックス)

 

作者:よしながふみ 

掲載:メロディ

概要:徳川三代将軍家光の時代、疫病が流行し男子の人口が激減。男性に代わって女性が世の中を動かす男女逆転社会が訪れる。

感想:大奥という一点から歴代将軍たちの人生を描いてきた大奥もついに14代。物語の終幕に向けて、役者は揃ったのかなという感じがします。連綿と続く徳川将軍たちの人生ですが、一人一人の人生が積み重なり、少しずつ価値観が変わっていきます。徳川の血をひくがゆえに将軍として生きねばならなかった家光の時代から、膨大な経験と時間が費やされて、血ではない、と言える家茂の時代がついに訪れる。時代は一足飛びには変わらず、積み重ねの中で少しずつ変わっていくものなのかもしれない、と思わされました。

No.8 金色のマビノギオン 

金色のマビノギオン ―アーサー王の妹姫― 1 (花とゆめコミックス)
 

作者:山田南平 

掲載:マンガPark

概要:アーサー王の世界のタイムスリップ(?)してしまった高校生3人組の物語。戴冠前のアーサーを助けて現代に帰るはずが、少しずつアーサー王の世界に飲み込まれていく。

感想:本来異物であるはずの現代からきた3人。しかし、彼らが歯車が組み込まれることによって、悲劇的なアーサー王伝説の完成に向けて物語が動き出していきます。ちょっとずつ悲劇に向かって動き出していく感じにぞくぞくします。ガウェインの色男ぶりが最高。ヒロイン・たまきとのいちゃいちゃシーンはニヤニヤがとまりません。

マンガPark公式サイト・アプリから数話無料で読めるのでぜひ読んでみてほしいです。

manga-park.com

 

No.9 地獄楽

地獄楽 1 (ジャンプコミックス)

地獄楽 1 (ジャンプコミックス)

 

作者:賀来ゆうじ 

掲載:ジャンプ+

概要:石隠れ里の抜け忍・画眉丸(がびまる)は妻を取り戻すため、幕府の役人・佐切(さぎり)や囚人たちと彼岸の島で不死の妙薬を探すことに。しかし、島では奇妙な生物たちや「てんせん様」が彼らを待ち受ける。

感想:初期はホラーミステリー感が強く、島の生物や住民たちの不気味さったらないです。貴志祐介先生のホラーが好きな人は好きだと思います。神秘的で不気味。また、反発しあっていた幕府の役人と囚人たちが徐々にバディとなっていく感じはザ・少年漫画という感じ。お互いを大事に思いあってることが感じられる画眉丸と妻のエピソードは大好き。特に前髪の話はよかった… しかし、この妻と画眉丸の間には何か爆弾が仕掛けられている気がしてならないです。

ジャンプ+公式サイト・アプリから無料で読めるのでぜひ読んでみてほしいです。ちなみにコミックで読むとちょっと修正が…ない…です…

shonenjumpplus.com

No.10 日に流れて橋に行く

日に流れて橋に行く 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)

日に流れて橋に行く 1 (マーガレットコミックスDIGITAL)

 

作者:日高ショーコ

掲載:クッキー

概要:明治末期の日本橋を舞台に、呉服屋の三男・虎太郎が落ちぶれかけた実家・三ツ星呉服店を新しい時代の百貨店に作り変えていくお話。

感想:時代の空気感みたいなものが感じられるところがいいです。明治時代のように、前の時代とガラリと制度も考え方も変わってしまった時代の人たちってどうやってそれを受け止めたのかな~。急激に社会が変わっていくことに対する虎太郎の考え方や、女性が抑圧されていた時代における三ツ星初の女性店員・時子の立ち位置は意識的に現代の日本の問題とリンクさせている感じがします。このお話は明治を描きながら現代を描いているんだと思います。百貨店各社モデルがあると思うのでそれを想像しながら読むのも楽しいです。無料のダイジェスト版が出ているのでぜひ読んでみてほしいです。 

 

 

 以上、2019年の私の面白かった漫画10作でした。どれもめちゃくちゃ面白いので、ぜひ読んでみてほしいです。

 ところで、毎年ベスト作ってると(やってない年もありますが…)、毎年同じ漫画がランクインするんですよね…  私が自分の中でランキングつくると、必ず毎年ランクインする作品があります。今年はそれらの作品は殿堂入りにしました。

 

 

 

 

 

殿堂入り

Under the Rose

Under the Rose (10) 春の賛歌 (バーズコミックス デラックス)

Under the Rose (10) 春の賛歌 (バーズコミックス デラックス)

 

作者:船戸明里

掲載:なし(電子書籍として1話づつ配信)

概要:ヴィクトリア時代のイギリス・ロウランド伯爵邸で繰り広げられる愛憎物語。家庭教師レイチェルは伯爵次男・ウィリアムにモラハラ・セクハラ・パワハラを受ける中で、徐々に彼を愛しだす。

感想:愛、といいつつ、もはやレイチェルという一人の女性がロウランドの闇に飲み込まれていく姿を描いたホラーストーリー。レイチェルとウィリアムの縮まりそうで縮まらない距離がもどかしくてたまらない。読者は、恋する二人の目が合うだけで火花が散るような衝撃とときめきを感じることができます。第二部は12巻で終了予定とのことですが、この二人があと1冊でまとまるのでしょうか… クリスマスに読みたい名作。

 

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薔薇王の葬列

薔薇王の葬列 1 (プリンセスコミックス)

薔薇王の葬列 1 (プリンセスコミックス)

 

作者:菅野文

掲載:月刊プリンセス

概要:シェイクスピアの『ヘンリー六世』、『リチャード三世』を原案とするファンタジープランタジネット家の三男リチャードは両性具有であるがゆえに母に疎まれ、周囲に自分を偽って生きている。偶然、森で出会った羊飼い・ヘンリーとの間に愛情をはぐくむが、実はヘンリーの正体は宿敵・ランカスター家のヘンリー六世だった。

内容:リチャードとヘンリーの関係はまるで『ロミオとジュリエット』。お互いがお互いの正体を知らないまま惹かれあっていきます。秘密の上に関係が積みあがっていく中、本人たちは楽しそうにしてるので、読者は危機感しかありません。読んでいるとひたすらリチャードがかわいそうになります。ともかく10巻まで読んでほしいです。そして、10巻まで読んだ皆さん、あなたが読みたいことが描かれているのは60話です。プリンセス2019年12月号を買いましょう

 

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天空の玉座

作者:青木朋

掲載:月刊ミステリーボニータ

概要:舞台は中国の架空王朝。反逆罪に問われた姫家の姫君・珊瑚(さんご)は兄に密かに逃され、庶民の子として育つ。しかし、12歳のある日、その兄が珊瑚を迎えにやってきます。一族全員が処刑された中、兄・蓬莱(ほうらい)だけは宦官となって生き延びていたのだった。宮中に迎え入れられる珊瑚。しかし、それは想像を絶する過酷な世界への入り口だった。2019年完結。

内容:このお話は蓬莱という、あまりに苛烈な人生を生きざるを得なかった一人の宦官の話なのだと思う。ストーリー・絵・キャラクター全てにおいて最高の漫画。架空王朝のお話ながら、宦官と官僚の闘争や騎馬民族との関係など、ザ・中国史! 最終話の物語の回収の仕方に胸を撃ち抜かれるます。2019年12月27日まで各電子書籍書店で3巻まで無料なのでぜひ読んでほしい…!

 

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以上、2019年ベストマンガ10作品+殿堂入り3作品でした。年末年始は『薔薇王の葬列』の考察に費やそうと思います。