It's a rumor in St. Petersburg

アラサー学生です。主にまんがの感想を書こうと思っています。

【旅行記】Shakespeare’s Globe 『RichardⅢ』

 2019年冬のシーズン、ロンドンのShakespeare's Globeで『RichardⅢ』と『HenryⅥ』が上演されています。

 

www.shakespearesglobe.com

 

これは絶対行くぞ!と思っていて、12月初旬に『RichardⅢ』のみ、観に行くことができました。

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劇場前のポスター

 

 

 

Shakespeare's Globe

 Shakespeare's Globeはロンドンのテムズ川沿いにかつて存在したシェイクスピアのグローブ座を1997年に復元した劇場です。

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Shakespeare's Globe

野外劇場と屋内劇場があり、夏は野外で、冬は屋内で観劇できます。今回は冬なので屋内で。わりといい席を予約したのですが、こじんまりした劇場なのでどの席からでもよく見えそうです。

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ロウソク灯りのみの薄暗がり

照明はなんとロウソクの灯り。幕間に係の人がロウソクを取り換えます。

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ロウソクの灯を燈す係の人

近年では宮殿等のシャンデリアもロウソク型の電灯を使ったりしてますよね。本物のロウソクの灯りを使ったシャンデリアを初めて見ました。薄暗がりがシェイクスピアの時代を思わせます。照明用の油も近代になって進化したと聞いたことがあるので、リチャード三世の時代はもっと暗かったのかな。パーティーや寝室では相手の顔がよく見えないかも。

 

 

 

RichardⅢ at Shakespeare's Globe

 この舞台でのリチャードはリチャード・ザ・サイコパスという感じです。権力への欲求が強く、実現のために周りをどんどん陥れていきます。(あれ?元々シェイクスピアのリチャード三世はそういう話だったような… でも私の中のリチャード三世は『薔薇王の葬列』のリチャードがデフォルトだから…)欲求に対するためらいのないさや明るさはまさに反社会的人格、良心の欠如した人といった感じです。『時計仕掛けのオレンジ』や貴志祐介作品に出てきそうなためらいのない悪です。リチャードを演じているのは女優さんなのですが、明るく楽しく政敵を粛清する様が実にハンサム。シャンデリアを揺らしながらろうそくの火を吹き消していくシーンが本当にかっこよかったです。振り子のように揺れるシャンデリアが不気味でドラマチックでした。

 この舞台でのリチャードはやりたい放題、自分の欲求を叶えて、母や妻、義理の姉の嘆きには女の愚痴は煩わしいと言わんばかりにあしらいます。何を言われても口先で言いくるめて自分が勝った気になっている。しかし、最後は自分が踏みつけた人たちに裏をかかれます。現代にもこういう人いそうですね。この舞台は現代的な視点でみてもかなり共感できるお話だと思いました。

 バッキンガムとの蜜月ラブラブはこの舞台でも健在。自分の手足となって動くバッキンガムに対して「愛い奴よ」といった感じ。機嫌がいいときにはキスして、最後は別れのワルツを踊ります。バッキンガムの最後の言葉は原作の通り。あのセリフかっこいいですね。

 この舞台、衣装が全て現代の服装です。貴族や王族はスーツ、刺客はレインコート、病人はパジャマ。夏に『HenryⅤ』を観たときにはかなりクラシックな演出だったので、伝統的なシェイクスピア劇をやる劇団なのかと思っていたため驚きました。ちなみにリチャード役は女優さん、マーガレット役は男優さん、ケイツビーも女優さんです。

 脚本は一部省略されていました。ボズワース前夜の亡霊シーンでヘンリーのシーンは省略されているなど、主人公であるリチャードにより焦点をあてた構成でした。しかし、この脚本なのかこの舞台なのかはわかりませんが、イギリスの歴史もしくは『リチャード三世』の知識がある程度ないと話についていけないかもと思いました。こういうのはイギリスの人たちは大方わかっているものなのでしょうか。『忠臣蔵』的なものなのかな?

 

 

 

お土産ショップ

 観劇の後は劇場内のショップでお買い物。シェイクスピアグッズがたくさん置いてあります。

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シェイクスピア・オーナメント

ハムレット』と『マクベス』は人気ですね。たくさんグッズがあります。

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マクベス』グッズ

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To bee or not to bee...

『リチャード三世』は本があっただけでした… 残念…

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『Richard Ⅲ』グッズ


 ちなみにこの劇場は劇場自体のツアーもあって係の人が劇場内を案内してくれます。特に冬季はガイドツアーでないと野外劇場の見学はできないようなので、ツアーを使って見学するのもいいかもしれません。野外劇場・屋内劇場共に劇場自体がシェイクスピアの時代を感じさせる非常に凝った造りであり、観光目的でも観劇目的でもどちらでもとても楽しめる劇場だなと感じました。

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野外劇場

 

 

www.anastasia1997.tokyo