※※感想を書くのに必要な範囲でネタバレがあります。
『ヴィンランド・サガ』23巻読みました。
今巻で東方遠征編完結ですね。
困った、英語が下手すぎて誤解を生んでるかもしれない。
— 幸村誠 (@makotoyukimura) November 10, 2019
ヴィンランド・サガは大きく分けて4部あります。今まで3部、戦争編、奴隷編、東方遠征編を描きました。私は最後の一編を描きはじめています。これを1000ページ以上、50話以上描きます。おそらく数年かかります。連載が打ち切られなければ😄
戦争編が1話~54話、奴隷編が55話~100話、東方遠征編が101話~165話。
おー、どのパートもだいたい50話前後なんですね。
第四部が50話以上というと、完結まではコミックスにしてあと8巻以上はある感じでしょうか。
全31巻以上ぐらいかな?
トルフィン、過去との決別
23巻、バルト海戦役後のミクラガルドへの旅はカット。
グズリースとの恋愛パートも…
『ヴィンランド・サガ』、ものすごくメッセージ性とそれを引き立たせる構成を重視している作品だと思います。
東方遠征編で幸村先生が描きたかったことというのは、ヨーム戦士団との関わり、自身のヴァイキングとしての過去、自身の根底にある復讐心や怒りといった、ヴィンランドに持っていってはいけないもの全てとの決別だったのかなと思います。
戦争編では戦争が社会システムに組み込まれたヴァイキングたちの社会とその中で犯されるトルフィンの罪が描かれ、奴隷編では罪の自覚と新たな社会への希求が描かれ、そして東方遠征編ではヴァイキング社会と過去との決別が描かれてるのかと思います。
アニメを観ていて、戦争編がプロローグ!?あれだけのドラマが?と思ったのですが、構成としては確かにプロローグであり、本当に壮大な物語だと思います。
今いる場所で生きていけない人たち
トルフィンとグズリースの結婚の宴を見て、16巻の彼女の旅立ちのシーンを思い出してめちゃくちゃ泣けました。
船乗りになって世界を見て回るという夢を叶えたんだね…
男女の性差があるのはわかるし、過去の世界では今以上に体力差や出産による体調の変化といったものによる違いは顕著だったと思います。
そうしたものを考慮して社会システムが組みあがっているというのもわかります。
けれど、その社会システムの中で苦しむ人や踏みつぶされていく人たちもいる。
グズリースや男女差の問題だけでなく、報復によって治安を維持している社会において、社会的な庇護から排除されるカルリやヨーム戦士団の団長の孫として生まれ、戦争の中で生きていくことを強制されるバルドルも根底には同じ問題を抱えているのだと思います。
東方遠征編はそうした今いる場所で生きていけない人たちの物語でもあったと思います。
そして、そうした社会システムに踏みつぶされていく個人は救済されなくてはならない、という強いメッセージをこの作品からは感じます。
グズリースの旅立ちは1018年。
正直言って、それから1000年以上たってもまだ人類はこの問題を克服できていないのだとも思います。
そんなこんなで全てを振り切って、自由と夢を掴んだグズリースを見ているとともかく泣けきます。
シグやんが憧れるのわかるよ。
次巻から始まる新展開も楽しみです。
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