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【感想】『薔薇王の葬列』 菅野文(著) 12巻①

 2019年8月19日、『薔薇王の葬列』12巻発売です。電子だと発売日になってすぐ読めるのがいいですね!

 

薔薇王の葬列(12) (プリンセス・コミックス)

薔薇王の葬列(12) (プリンセス・コミックス)

 

 

 12巻、物語の迫力がすごいです。10巻ぐらいから毎巻クライマックスってかんじの迫力ですが、今巻もすごかった~。雑誌掲載時に毎号感想を書いているのですが、やっぱり通して読むと少し違って見えたり、書下ろしもあるので過去エントリの内容をリサイクルしつつ、12巻の感想を改めて書こうと思います。

 

 

 

感想

リチャードの選択

 12巻では狩りの最中、森の中で夢と現実、過去と現在の境界線があいまいになり、さらにバッキンガムとティレルが乱入します。その中で、リチャードが誰を、そして何を選ぶかということが最大の山場だったのかなと思います。

 

「目覚めた時、傍にいた奴を愛してしまう」

52話、狩りが始まる前のジャンヌの暗示です。なので狩りでリチャードが倒れた時、次に目を覚ました時、傍にいる相手がリチャードの行く末密かに暗示する人Honey!に違いないと思ったわけです。そして、そのタイミングでティレルが参入してきたわけですから、やっぱりここはヘンリーが持っていくのね!って思ってたわけなんですよ。ところが、

 

 

まじか、まじか、そうなのか。そうか、君はそういう奴だったんだな。違った、あなただったんですね…、バッキンガムさん…!ってなりました。正直、リチャードがもっと揺れるのかなと思ったので、私としては意外でした。意外さが一周回ったので、図を書いて整理することにしました。ツッコミどころ満載かと思いますが、論理的思考を全く持たない人間が暇にあかせてつくりましたので生暖かい目で見ていただけると幸いです。

 

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『薔薇王の葬列』登場人物属性図

 『薔薇王の葬列』では光と闇、神と悪魔といった対立する概念が用いられていて、それぞれ、それを体現する人がいます。なので、それを図にして関係性を考察してみました。

対立する2つの概念

縦軸: 光 VS 闇
 「光」というのは『薔薇王の葬列』の世界では、ほぼ「王冠」とニアリイコールです。それに対して、「闇」の暗喩としてしばしば「森」が登場しています。リチャードはしばしば「王冠」を目指すのか、それとも「王冠」を諦めて「森」で暮らすのかという選択を迫られています。なので、「光=王冠」 VS 「闇=森」を縦軸としました。


横軸: 神 VS 悪魔
 リチャードはしばしば「悪魔の子」として、さいなまれています。これに対立する概念は「神」ですね。『薔薇王の葬列』の舞台は15世紀イギリスですから、基本的にみんな「神」の定めたルールに従って生きています。でも、身体的な問題からリチャードは「神」の定めたルールに則って生きることができません。生きているだけで違反しています。だけど、リチャードとしては最初は神のルールに則った世界で生きていきたいと考えている。だから苦悩します。でも、様々なことを経験する中で、「悪魔」は「悪魔」として生きればいいのではと考え始めます。これも物語の中で大きな流れの一つだと思ったので横軸は「神」VS「悪魔」としました。

 

 

 

横軸と縦軸で区切られる4つの窓

右上: 光&神 「楽園」
 神の定めたルールに則り、王冠を持つ者たちのいるところ、それは「楽園」です。リチャードも「あの環の中には楽園がある」と口にしています。体現するのは第一部のヘンリーです。王であるというのはそれだけで、神の代理人であり王冠の所有者なので楽園の住人なのですが、ヘンリーはさらに輪をかけて敬虔なクリスチャンです。その正式な妻であるマーガレットもこのゾーン。エリザベスと子供たちはエドワード4世の正式な妻とその間に生まれた子供であればこのゾーンですが、12巻で神の認めた婚姻をした妻ではない妾と庶子とされたことで、楽園を追われることとなります。

右下: 闇&神 「安息」
 ヘンリーがもし約束を果たせていたら、きっとこのゾーンにいたことでしょう。ここは「安息」のゾーンです。羊飼いバージョンのヘンリーのゾーンです。輝かしい王位を捨て、森で羊飼いとして生きる、それが第一部でのヘンリーの夢でした。

左下: 闇&悪魔 「夢(または悪夢)」
 第一部のリチャードは悪魔の身を持ちながら、光への強い執着を持っています。しかし、ヘンリーと出会ったことで、森を選びます。それは「夢(または悪夢)」の世界です。そして、常にリチャードと共にあるケイツビーもこのゾーンにいます。
 一方、王位を失い、ティレル(元ヘンリー)はリチャードの信奉者として悪魔の一味となりつつ森に巣食います。

 

左上: 光&悪魔 「罪」
 王位を希求する悪魔のいる場所、それは「罪」のゾーンです。バッキンガムは第一部からずっとここにいます。そして、ずっとリチャードに王位を狙うようささやき続けます。しかし、第一部ではリチャードは王位ではなくヘンリーの待つ森を選ぶのです。しかし、その愛の夢は破れ、リチャードは第二部で王位への憧れを顕在化させます。そして、「罪」を犯しても光を求めること決意します。もちろん、付き従うケイツビーも共に「罪」を選びます。そしてエリザベスとその子供たちも楽園追放後は神に見放された妾と庶子としてこのゾーンへ。


 こうやって図にしてみると、第一部でのリチャードとヘンリーって本当に対局の存在です。一方、バッキンガムはずっとリチャードを「罪」のゾーンで待っています。第一部ではリチャードが森を選んでバッキンガムとは道を異にしますが、第二部でバッキンガムがリチャードの王冠への思いを顕在化させることで自分のゾーンに招き寄せ、ついには「半身」と名乗るまでになります。リチャードが王冠を目指す限り、バッキンガムは共にある。だから、バッキンガムが側にいればリチャードは夢は見ない。そして、リチャードはかつて選んだ森での生活ではなく王冠を目指すと、それがリチャードの決断であると12巻では明確に打ち出されていたという事だと思います。

 

長くなってきたので次回に続きます。

 

【感想】『薔薇王の葬列』 菅野文(著) 12巻 続き

 

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