※※感想を書くのに必要な範囲でネタバレがあります。
前回ブログを書いてからあっという間に1Qが過ぎてしまいました。73話を読んで、なんだか薔薇王の主題が見えた気がして、感想を書きたいという思いがむらむらとわいてきました。書きます。
「薔薇王の葬列」最新73話掲載の月刊プリンセス8月特大号、好評発売中!
— 薔薇王の葬列🌹アニメ化決定🌹 (@baraou_info) July 7, 2021
薔薇王はセンターカラー🌹✨
リッチモンドのキャラクター性が伝わってくるカラーイラストですね✨ pic.twitter.com/0qYcyOiTXs
自分の人生を取り戻す人々の物語
いろいろなメッセージやテーマが包含されたお話だと思うのですが、物語全体を貫くテーマは「呪縛からの解放と自分の人生を生きる」ということなのかなと思いました。
薔薇王の主要登場人物はほぼ親や社会からの呪いをうけています。リチャードはセシリーにかけられた呪いを背負って生きてきたし、アンは女性として政治の道具として生きることを強いられて生きてきました。リッチモンドもママンから相当強烈な呪いをかけられてるっぽい気がします。エドワード王子も自分を顧みない両親の存在があって王冠を求め、ヘンリーには人を愛することを恐れる呪いがかかっていました。そうした呪いが彼らの人生を歪め、本来あったはずの人生の選択肢や可能性を奪ってきたわけです。
でも物語が進む中で、出会いや別れがあって、登場人物たちは自分にかけられた呪いを少しずつ解いていきます。(解けないまま退場する人もいましたが…)
73話では、リチャードは実は呪いは他者からのものだけでなく、自分で自分にかけてきたものや、自分が他者に与えているものがあることを自覚します。その結果として、リチャードは自分の呪いからアンや子エドを解放するという決断をするということなんだなと思ったわけです。自分の人生を奪ってきたものを断ち切り、自分の意志で自分の人生を選ぶ。そして、自分の存在が他者に与える呪いも断ちきる。そういうお話なのかなと。
55話でアンが自分の意志でリチャードを選ぶシーン、アンという人物に課された課題をクリアするという彼女単体のエピソードだと思っていたのですが、物語全体のテーマの中でアンという一人が変わる瞬間のエピソードなんだなあと今回のお話を読んで思いました。
一方で、55話ではエリザベスも人生を取り戻すべく、策略をめぐらしています。彼女も復讐という呪いに囚われて人生を奪われた人なんだと思います。でも、彼女は自分の呪いに気づくことも断ち切ることもできず、自分の子供たちに呪いを与え、ある意味その結果として2人の王子は消えていくことになったとも思えます。ベスの両親に対する心情はよくわかりませんが、彼女にも相当強い呪いがかかっていると思います。呪いから自らを解き放っていくのか、それとも自分自身で呪いをさらに強めて、自分の子供たちの人生まで奪っていくのか。ここがきっと分かれ目なんだなあと思ったりしました。
あとジェーンの存在って、何事にもとらわれず自らの意志で人生を選択する、ある意味理想的な存在としての立ち位置なのかもなあと思ったり。
社会みたいな。。。
今回のお話、社会だな…と思いました。人と人の関係って、一方通行だったり、たった一人に限定されるものではなくて、相互に多様に築くことが必要なんだよな~って思います。二人のために世界はあるのって瞬間もあるんでしょうが、人が生きていくためには誰か一人がいればいいってことじゃないんだよねと。社会の中で人は生きているんだよね…
リチャードはずっと自分のことでいっぱいいっぱいだったと思うんですが、生きていく中でバッキンガムを得て、アンと子エドという家族を得て、自分を信頼してくれる家臣たちを得て、自分を求めてくれる国民を得て、と多くの関係を得てきて、その関係の中で生きているんだなあと。これってほんと現代社会でもかわらなくて、どれだけ大切な人でも誰かだけいればいいとかそういうことじゃないんだよね。閉じた世界で人は生きていけないって思います。
絶望して生きろ!!!
最近の展開は第一部の展開と同じ関係性や出来事をなぞりながら展開しているなと感じます。
バッキンガムを追ってリチャードが森に入るシーンはヘンリーを追ってリチャードが森に入っていくシーンと重なっていると思いますし、王が看取るキングメーカーの最後、リッチモンドの上陸とマーガレットの上陸、そして今回はエドワードを逃がそうとするアンと追うリチャード。同じ構図でも人物は少しずつ変わっていたりして「こういう役には多分順番がある…」ってやつを感じますね。
この後の展開も重なっていくのなら、「絶望して生きろ」がめちゃくちゃ映えちゃうな~~~~~と非常にドキドキしています。そして、ラストも「お前が生まれた日を呪うだろう」と真逆の展開で終わってくれるのかな、と希望を感じております。
そのほか思ったこと
- アンは馬を駆ってどこに逃げるつもりだったんでしょうね。もともと住んでいた北の領地?今後小エドを逃がすのかなと思うのですが、これまたどこへ逃がすんでしょうね。
ところで小エドを逃がすとしても、誰のところへ?まさか、じいちゃんと森で…?そんなの最強の暗殺者小エドが誕生してしまう…
— j (@anastasia1997_1) July 5, 2021
- リチャードとアンって白いのが長生きしすぎてること気にならないのかな…
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