It's a rumor in St. Petersburg

アラサーOLです。主にまんがの感想を書こうと思っています。

薔薇王の葬列 菅野文(著) 感想 (1−7巻)

 

 

 薔薇王の葬列読んでみたんですよ。そしたら、もう、7巻、本当に、名作ですね。

私はランカスターのエドワード押しだったので、7巻、つらくも圧倒されてました。読んで本当に良かったという気持ちです。

薔薇王の葬列(7)(プリンセス・コミックス)

薔薇王の葬列(7)(プリンセス・コミックス)

 

 絶対全巻読まねばという強い気持ちも芽生えて、10巻まで全部揃えて、1−6巻も読み直してます。

あらすじ

 舞台は中世イギリスで薔薇戦争がモチーフです。当時のイングランドではヨーク家とランカスター家が王位をめぐって戦争(薔薇戦争)してます。主人公リチャードは薔薇戦争の片方の主役、ヨーク家の末弟です。

 「末弟」と書きましたが、実は彼は両性具有です。当時のイングランドでは宗教的な解釈から、両性具有者は悪魔とみなされ火あぶりとかされちゃうような感じらしく、彼はそれを家族にも隠して生きています。男として生きたい、周りの人に受け入れてもらいたい、と思う気持ちと、悪魔の子であると事実が彼を引き裂いていきます。

 一方で、彼のお家は国を2分する大戦争の最中なので、父親が殺されたり、自分自身も敵の虜になったりしています。つらい秘密も抱えているし、生育環境も複雑なので彼はすごく根暗に育ちます。

 そうした中で、森で偶然出会った自称:羊飼いヘンリーと心を通わせていきます。リチャードとヘンリーはお互いがお互いの救いになっていくわけですが、実はヘンリーはランカスター家の当主で暫定国王のヘンリー6世で、リチャードの父の仇なんですね。薔薇戦争のもう片方の主役です。

 2人の気持ちの行方と戦争の行方がどうなるのか!?って感じの話です。

感想

 思ったことをつらつら書いてみます。

スーパーBASARA展開

 ヨーク家とランカスター家、憎しみ合う2家のリチャードとヘンリーが心を通わせていくこの展開、シェークスピアだけにロミジュリ展開というべきでしょうか?それとも、恋人たちが殺しあうバジリスク展開でしょうか?

 

否、ここはあえてBASARA展開と言わせていただきたい!

 

 リチャードにとってはヘンリーは最愛の父の仇です。ヘンリーは国政にも自分の家族にも興味がなさそうなので、特にリチャードを憎んだりしていなそうですが、リチャードがヨーク家のリチャードとは知りません。この2人がお互いをお互いと気づかないまま、惹かれあっていく様はまさにBASARA。

 2人は偶然に何度も巡り会うわけなのですが、お互い(の家)がお互い(の家)を打ち倒すために追いかけあってるわけですから、実は必然的に出会っているわけです。

 さらに、彼らがお互いの正体を知るのは最後の戦いの場でヨーク家のリチャードとランカスター家のヘンリーとしての一騎打ち(?)

 

これはもうBASARA展開と呼ばせていただきたい!

他の方の感想でも同じ意見があって嬉しいです。

 

tyoshiki.hatenadiary.com

 BASARAの紹介が15巻なのが憎いね!

 

 ヘンリーの正体が読者にわかったあたりから、読者の関心は「いつお互いはお互いの正体に気づくのか?」「お互いの正体がわかった2人はどうなるのか?」にあったと思うのです。「最高に盛り上げてくれよ」と。

 いやー、盛り上がりましたね〜。この盛り上がりってつまり、お互いが最高に傷つく形でその瞬間を迎えて欲しいってのとほぼ同義だと思うんですけど。お互いの正体を知ってからの怒涛の展開は圧巻でした。

 ちなみに作者の菅野文さんは相当、田村由美さんをリスペクトされているのではないでしょうか?

mangayomi.seesaa.net

 

エドワードの叶わない夢

 私は断然、ランカスター家のエドワード(以下、エドワード(ラ))が好きなんですよ!7巻は彼の登場シーンも多くて良かったですね。

 基本的にこの物語ではリチャード×ヘンリーのBASARA展開がベースにあるわけなんですが、もう一つリチャード×エドワード(ラ)×アンの大三角形も掛かってるわけです。

 リチャード×ヘンリーは憎むしかないのにお互い全く気づいてない悲劇なのに対して、この3人は分かり合えたかもしれないのに少しずつすれ違っていく悲劇って感じです。

 エドワード(ラ)はリチャードを女性と思い込んでいて、リチャードに恋をしています。リチャードの方は彼がランカスター家のエドワードとは気づいてない。わけのわからんうざい男と思っている。

 一方、アンはリチャードの幼馴染。アンはリチャードが好きで、リチャードは恋ではないかもしれないけど、アンを大切に思っている。でも、アンは父の裏切りによりエドワード(ラ)と政略結婚してしまう。

 この3人が戦場で一同に会した瞬間は最高の盛り上がりです。エドワード(ラ)が最高にかっこいい。彼はランカスター家の跡取りでかなり複雑な環境で育っているので、ねじくれていておかしくないのに、めっちゃまっすぐなとこがいいですね。好きな子のために一生懸命だし、相手の恋人のこととかも気になっちゃうし、同じ部屋に泊まれば欲望との葛藤だし、普通の少年。政略結婚したアンにも優しいし。悲しんでるアンに「欲しいものは自分で手に入れろ!」と励ますとことか、ほんといい子だなーと思います。

 リチャードとエドワード(ラ)は一緒にいるとほとんどコメディ状態なんですが、リチャードも人としては、彼のことを拒否していないんで、わりと好感を持ってたんじゃないのかな。最後の戦いでは、この2人もお互いの正体を知り、エドワードは捕縛され、ヨークの3兄弟の前で処刑されます。死の間際の最後の夢の中で、彼は自分の気持ちをリチャードに伝えますが、現実では、最後までリチャードに自分の気持ちを伝えることができなかったんだよね。この叶わなかった夢が本当に悲しい。

 エドワード(ラ)はリチャードを好きだったのに、その気持ちが少しもリチャードに伝わらなかったのが本当に残酷だなと思います。むしろリチャード的には、正体を知った瞬間、ちょっとは気にかけていたエドワード(ラ)が、ランカスター家のエドワードになってしまって、憎しみの対象になっちゃたわけです。最愛の父も、幼馴染のアンも、ヘンリーもエドワード(ラ)自身ですら、ランカスター家が奪っていったと。でも、誰にも愛されないと思っているリチャードにとって、エドワード(ラ)の想いがもし伝わっていたなら、救いになっていたのではないかな。この届かなかった想いはどこに消えちゃうんだろうか。ただ彼の死とともに消えてしまうのかな。ただアンの記憶の中だけに残るのだろうか。いつかどこかで彼の想いがリチャードに届いて欲しいです。

 あと、エドワード(ラ)がプレゼントしたブローチどうしたのかな。なくさないでいてほしい。忘れないでいてほしい。

 

 本当は10巻まで一気に感想を書こうと思ってたのですが、1部と2部であまりにも話も見どころも変わるので別々に書くことにします。

 

8-10巻感想

 

プリンセス追っかけ

 

薔薇王の葬列 史実との突き合わせ年表

www.anastasia1997.tokyo