It's a rumor in St. Petersburg

アラサー学生です。主にまんがの感想を書こうと思っています。

【感想】『薔薇王の葬列』62話 プリンセス2020年4月号

※※感想を書くのに必要な範囲でネタバレがあります。

 

プリンセス2020年4月号、『薔薇王の葬列』62話の感想です。
しばらくラブ要素が強かったところから、がらりとお話がかわりました。

今号もめちゃくちゃおもしろかったです。

 

プリンセス2020年4月号 [雑誌]

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感想

リチャードの変化

62話、子エド単独扉です。エドワード王子に似てきたな~!

薔薇王の葬列 5 (プリンセス・コミックス)

薔薇王の葬列(8)(プリンセス・コミックス)

 

5巻の表紙とかなり近い構図だと思うのですが(あえてでしょうか?薔薇の冠をかぶっているとこは8巻のアンっぽいかも)、比較すると目と表情がアン似で全体の輪郭が王子ぽいなーと思います。

リチャードが薔薇を受け取るシーンは13巻の表紙を思わせます。赤薔薇握ってギラギラした目で前をみつめていたリチャードとは別人だ…

 

薔薇王の葬列(13) (プリンセス・コミックス)


花を美しいと思うようになったという発言も心境の変化を伺わせます。追い立てられるように生きてきたリチャードにとって、なにかを慈しんだり美しいと思ったりする余裕はきっとなかったのだと思います。バッキンガムと一夜を経て、初めて近くにいる人を愛しいと思ったり、花を美しいと思う気持ちの余裕が出てきたのかなと思います。


エドとリチャードの親子の語らいのシーン、8巻では差し戻した薔薇を今回は受け取るリチャード。そしてそれをちゃんとお部屋に持ち帰って飾ってる。子エドへの愛情が感じられます。

 

エドとの関係性はヨーク公とリチャードの関係を彷彿とさせます。そしてみつめるアン。セ、セシリー!!?こんなんされると、ますます私の中の「リチャード、ヨーク公の実子じゃない説」が濃厚になってしまう。さておき、今回のアンの視線の意味は昨夜はパーティーからいなくなってしまうし、今まであまり気にかけていなかった子エドにかまいだしてるし、昨日リチャードに何があったの!?という心境なのかな~と推察しております。

王位を狙って攻守交替

リッチモンド氏、バサッとマントを広げてパパの前から立ち去ります。早着替え、舞台っぽいですね。広げたマントの影が悪魔の翼の形になっている。

こういう描写は今まではリチャードに対してされていたと思います。リチャードが王位に就いた今、神に選ばれた王に挑戦する悪魔のポジションはリッチモンドに移ったという事なのかなと思いました。

 

ところで、黒い羽根を落として飛び立っていったのはカラスでしょうか。こいつらが現われだしたのは3巻・リチャードがバッキンガムに王位を仄めかされた直後あたりで、その後黒い羽根を持ったヨーク公の姿をしたイマジナリーフレンドも登場しだします。

彼らの存在の意味について、ここ一年半ぐらいずっと考えているのですが、いまだ答えがでないです。でも、なんとなく黒い羽根を持った生き物は王位を欲したり、王を害そうとしたりという王に対する罪を表しているのかなと思ったりしています。

 

 

 

バッキンガムとリチャード

せっかくあんなに打ち解けあったのに、またすれ違い始める二人。秘密を打ち明けた後、しばらくバッキンガムの表情が全くないのが怖すぎます。

 

しかし、バッキンガムの怒りもわかります。だって、リチャードって後から後から秘密が出てくるじゃないですか。しかも、前回すっごいカーブが来たと思ったら、今回すっごいストレートくるじゃないですか。最も愛した人間はヘンリー王からの子供は実子じゃありませんし、最も愛した男の孫ですよ。メジャーでも目指してんのか。

 

ランカスターの王子と聞いてさらに激高するバッキンガム。まーそうですよね。ランカスターかヨークかを巡ってずっと内戦やって、やっと王権が落ち着いてきたところでヨークの王がわざわざランカスターの王子を王位につけてやってたら世話ないですよ。

この秘密が公になれば、ヨークを支持してきた貴族たちが離反するのは必至だし、まだ海外にランカスター派がいる中、再び内戦が始まるくらいのレベルの話ですよね。

そもそもバッキンガムを含め、これまでの戦いで傷ついた全ての貴族や兵士や国民たちに対する裏切りです。

「じゃあ戦で死んだオレの親父は?」
「今までの戦は何だったんだ!?」
「すべて茶番だったっていうのか!?」
「そんなバカな」

って『BASARA』よろしく味方みんなから矢を射かけられちゃうことでしょう。

 

また、バッキンガムにとっては、リチャードと二人で苦労してやっと掴み取った王冠でもあります。戴冠したのはリチャードでもキングメイカーとしては自分が掴ませたという気持ちも強いと思います。お前は俺と二人で掴んだ王冠を危険にさらしても、子エドが大事なのか?オレはお前に全て賭けたのに、お前は他に守りたいものがあるのか?子エドへの愛が王冠に勝るというのか?という嫉妬があると思います。

リチャードからすれば、これまで全てを受け入れてくれたバッキンガムだからこそ打ち明けたのでしょうが、お互いの想いがすれ違っている。以前、菅野先生が「登場人物は二人として描いているのではなく、それぞれの人生を生きていてその中でいろいろな感情が生まれる」とおっしゃっていたことを思い出しました。

 

 

あと、バッキンガム的にヘンリー王の息子の子ってところへの嫉妬も確実にあるよね。ともかく、これどう解決できるというのか、ヘンリーの孫だけにじっちゃんの名に懸けて無理。

 


そういえば、バッキンガムが実子じゃないという点とランカスターの王子という点で二回驚いているので、実子じゃないという発言を聞いた時点では単にアンの不実と思ったのでしょうか。宮廷のみなさんも単純にアンの不実と思っているのかな?と思いました。

 

 

 

次回は全くどうなっちゃうのかわかりませんが、すごく楽しみです。

 

ところでティレルの待ちのポーズは一体…?リチャードが10巻かけたヘンリー呼びを1話でこなすティレル
記憶を失っても相変わらず距離感の掴めない不思議ちゃんだね、君は…

 

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